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民主以外も「取材に対応できる者を用意することができない」か

●月刊「記録」2005年8月号掲載記事

●取材・文/本誌編集部

■自民、公明、社民、共産に同じ質問をしてみた

 7月号で報じたように自らの売り物としている「政権担当能力」の説明を民主党に求めたところ「取材に対応できる者を用意することができない」という衝撃的な反応を小誌は食らった。永田町、民主党本部の対応である。ことあるごとに必殺技のようにくりだす「政権担当能力」とは具体的にどういうものなのか。それを党本部の役員が説明できないことは、大げさでもなんでもなく、ただただ衝撃だった。だがもしかしたら他の政党も同じようなものかもしれない。だとしたら民主党ばかりを面罵するのも公正を欠くとかろうじて我慢して、似たような質問を7月の上旬から中旬にかけて自民、公明、社民、共産の各党にアンケート形式で聞いた。期限である7月14日までの10日間で回答率は100%であった。
 アンケートの内容は以下の通り。
 (1)貴党は政権担当能力について質問されたとき、それに対応する人員を用意することができるか
 (2)それはどこ(誰)にたずねればよいのか
 (3)貴党の政権担当能力とは具体的にどのようなものか

 (1)と(2)に関しては(3)で「できる」と答えた政党にのみ回答を願った。(2)の文章は奇異ではあるが、何しろ今や2大政党の一角を担う民主党ができないといっていることなので、他の党も「はい」と答えるとは言い切れないだろう。ただし自民、公明両党はすでに政権を握っている側なので、そうした事情は踏まえた上で(なお民主党の不可解な回答を比較検討するためにも)あえて答えてほしいと付記した。

■民主が自民に勝てない決定的な証拠を入手

 4党のなかで最も丁寧に答えてくれたのが自民党である。内容も他に比べ圧倒的であった。以後に詳述するが自民党が強い理由というか民主党がイマイチ得体の知れない存在でパッとしない理由がよーくわかった回答だったといえよう。
 自民党の回答はアンケート用紙にではなく、A4用紙に文書として自民党の政権担当能力についての姿勢が「質問状に対する回答」と題して記されている。党本部、政務調査会からの回答だ。
 文章の量があるため全文をここに載せることはできないので、肝心な部分を取り上げていく。

  「政権担当能力の概念がはっきりしませんが、わが党は、政権担当能力とはそれをもって国民に支持を訴えるものではなく、有権者である国民の判断の結果であろうと考えます。国民が、政権担当能力があると考え、政権を任せようと判断すれば、結果として選挙に勝利し、政権を獲得することになります」

 この部分を見たとき、政権担当能力という言葉の捉え方が自民党と民主党で大きく違うことに気付く。ポイントは「政権担当能力とはそれをもって国民に訴えるものではなく」の部分だ。民主党は政権担当能力をアピールすることが政権交代に近づくことだと繰り返すが、自民党はそれは自らが訴えるものではないと言う。なるほど納得! もっとも「訴える」立場の民主党が「取材に対応できる者を用意することができない」から比較にさえならないのだが……。

  「政治は結果責任です。実績抜きの政権担当能力に国民が期待して政権が交代するということは考えにくく、現に政権を担当している政党の政策や実績に対する不満、否定が一定の水準を越えたときに政権交代が起きるのではないでしょうか。いってみれば、選挙を通じて予算や制度・施策である法律を制定する多数を獲得する=国民の支持を集めることが政権担当能力を獲得する、ということかもしれません。」
 この部分に思わず唸った。「政治は結果責任」ときた。民主党に対する批判の口調はないが暗に「政権も取らずに政権担当能力云々なんてお笑いぐさだ」と言わんばかりである。「いってみれば」以降の一文を民主党に読んでみろといいたい。もしかしたら民主党も内心はそう思っているのかも知れないが現に政権を取っていないので言うにいえないのかもしれない。だがそうならばそうと正直に語るべきだ。
 さらにこう続く。
  「概念があいまいな政権担当能力よりも、幅広く国民の声を吸収しつつ、その結果としての政策などを訴え、広く国民の支持を集めるというのが適切であると考えます。」
 この部分において、民主党の訴える政権担当能力はほぼ無力化されたといっていい。「概念があいまいな政権担当能力」を振り回しつつ、しかもその内容さえ説明する責任を果たさない民主党と、自らの立場を簡潔な文書に記して示した自民党との隔たりは大きい。
 そして最後にこういっている。
  「したがって、ご質問の①に対する回答は、『いいえ』とさせていただきます。また、もし『政権担当能力はあるか』と問われれば、現に国民の支持によって多数を有し、政策を具体化し、法律の制定、改変を行っており、『イエス』と回答したいと思います。」
 これでしめている。

 小誌の読者の多くは反自民であろうが自民党が強い理由は知っておく価値がある。何やら決定的な地力の差を感じさせた両党の対応であった。そしてその差を縮めてゆくことはこのさき可能なのか。
 さて、連立与党の公明党はアンケートに最も早く答えてくれた。同党政務調査会からの回答だ。①については「はい」にしっかりとマルが書かれてある。②には政務調査会が答えるとこれまた明記。③については「必要であれば別途文書で詳しく説明する」とのこと。腰が据わっている。少なくとも①さえ用意できない民主党よりはまともである。
 結論として現在の連立与党は「政権担当能力」の説明責任に関しては明らかに民主党より上である。というかオール・オア・ナッシングである。彼我の差は果てしなく大きい。

■共産、社民は「……」

 一方、野党の共産、社民はどうであろうか。
 共産党はアンケート用紙の①②③のどの質問にも答えず(要するに何も書いてない)、封書の中には『しんぶん赤旗』05年4月9日付けの記事をそのままプリントアウトしたA4用紙が2枚。2大政党制(自民と民主)に対する批判などが書かれてあるが、共産党の政権担当能力についてはほとんど触れてない。正確にいえば筆者の読解力ではわからなかった。どういう趣旨でこの2枚を回答としたのかの説明もないので謎のままである。該当する記事はホームページで読めるのでわかる人がいたら教えて下さい。
 少なくとも共産党に仮に政権担当能力があったとしても常人では理解しがたい難解ないしは深遠なものであるようだ。
 社会民主党の回答は①に「その他」で②③は無回答。そして「設問をもう少し具体的」にしてほしいと付記してあった。編集長はそれを見るなり「もう社民党は要らない」と怒ってしまったが筆者は編集長に隠れて電話で直接話を聞くことにした。対応に出た社民党本部の男性によれば、質問に対応することはできるし、もしそれができない状況でもホームページに詳しいことが載せてあるとのこと。ならばそう書いて下さいよ。
 というわけで「政権担当能力」の説明について「取材に対応できる者を用意することができない」民主党は論外。共産党はよくいえば深淵、悪くいえば謎。社民党は「大丈夫か」と声をかけてあげたい状態であった。
 ところで小誌は公党かつ野党第一党の代表が公然と自党のトップレベルの売り物として掲げている「政権担当能力」を「取材に対応できる者を用意することができない」(しつこいようだが何度でも書く)と言い放つ民主党を絶対に許さない。根本の部分で国民をだましている可能性があるからである。そこで小誌はすでに「できない」と答えた民主党の職員名を実名で明記した質問書を岡田克也代表と菅直人前代表に7月上旬に送っているが現時点(7月21日)で回答はない。本当に答えられないのか。(■つづく)

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