« サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/国労マーク ミス 革マル問題 | トップページ | サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/台風 秋 団結しよう »

サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/腰痛復活 足元よし 所定

■月刊「記録」2001年9月号掲載記事

○月×日
 腰痛で仕事を休んだ。
 ちょうど1年前の椎間板ヘルニア勃発?以来、毎日のように腰が痛み、それでもダマシダマシやってきたのだが遂にダメだった。
 夕方16時32分からの夜勤だったが、その前に2時間の会議が入っていた。お題目は「夏季輸送の取り組みについて」で、どうせ毎年決まりきったことだから出なくてもいいようなものだが、私達の仕事は同じ事を繰り返すという積み重ねで、それもまたひとつの節目として大事なことなのであり、出ないわけにはいかないのだ。
 その会議後にそのまま仕事に就こうと、昼過ぎには職場で制服に着替えていたのだが、突然ジワーッと重苦しい痛みが襲ってきた。でも、こんなことはしょっ中なので、「まいったなぁ」と思いながらも、「エイ、ヤッ」と気合いを入れ、腰を庇いつつ会議に出席した。
 それからだった。もう痛みはどんどんエスカレートするばかりで、腰をさすってみたり、丸めたり、のけ反ったりと、そんなことをしたってどうにもならないいつものことを、一応一通りやってみたのだが、にっちもさっちもいかずにダメなことはダメなのだった。答えは簡単、「ダメだこりゃ」なのである。
 休憩までの1時間は我慢して、顔を歪めつつ「今日はどうしても乗務が出来そうもない」と、当直助役に申し出た。すると、誰かがすでに電話で休んできた(突発)らしく、夜勤突発対応の予備の人が使われていて代わりがいないという。あとは休みの人に出てきてもらうしかないのだ。それは困る、ヒジョーに困る。こんなクソ暑い日は家で涼んで十分に休養をとってもらいたい。私だってもし電話をもらったら適当な理由をつけて断るにちがいない。
 そんなことをアレコレ考えていると、心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだった。普通ならここで、痛みを堪えて乗務するのだろうが、私の場合普通ではないのだ。もうごめん、済まない、頼むよ、誰でもいいから助けてね、この腰抜けを、と普通に思うしかなかった。
 病院には半年近くも行っていないが、この日は休日だったので休診である。とりあえず帰りに薬局に寄り薬を買った。腰痛・神経痛の鎮痛に「イレイサー」(ゼリア新薬工業)。3570円、ヒエーッ、高い。それにしても、これ以上の体調管理をどうしろというのか。考えるだけで気が重くなってしまうのだった。
○月×日
 今、若い人の間で流行っている?そう、足袋のような踝までしかない短い靴下を履いてみたのだ。
 子どもが登校するときのローハーにはチトみっともないと内心思っていたのだが、これがまた、一度履いてみると大変グー。この暑い時期にぴったりなのである。
 足元がスースー涼しい感じがして、これまでの普通の長い靴下は、もううっとうしくって履いてなどいられなくなってしまった。
 また、シャワーに駆け込みズボンを脱ぐのと一緒に脱げたりして、そのまま洗濯機にポイッ。手間が省けるといっては大袈裟だが、「おお」っと、そんなどうでもいいような一瞬の出来事にヨロコビを覚えたりする。
 で、立ったり歩いたりしている時は問題がないのだが、腰掛けたり足を組んだりするとズボンの裾が上がるから、その靴下がバレバレとなる。
 さっそく同僚達にいわれた。「典ちゃん、革靴にはヘンだよ、それってスニーカー用でしょ」「オヤジには似合わないよ」「お前の場合は、ゴムが弛んで、ただずり落ちてるだけじゃないのか」。皆笑わせてくれるではないか。「君たちねえ、おしゃれは足下からっていうじゃないか」なんちゃって……。
 足下よし、右よし左よし。今日も涼しく出発進行!!
○月×日
 戒厳令下の国労大会から既に半年が経過しているのに、肝心の四党合意はどうなっているのか。国労が四党合意を認めれば、すぐにでも解決に向けて政治が動くという話だったが、数回の協議が開かれただけで、ちっとも進展していないようである。
 それは、「四党合意以降、与党からなんらかの働きかけがあったのか」という質問に、「全くないので検討もしていない」との、まるで他人事のようなJR東日本株主総会(6月27日)での回答からも窺える。この間の小泉政権の誕生から、都議選、参院選といった「政治休戦」状態で、タイミング的なことも影響しているのか。それとも、大会以前から「本部がいかなる決定をしようとも最後まで闘い抜く」との態度表明をして、今まさに独自の自立した組織を立ち上げようとしている(9月)「闘う国労闘争団」の存在により、解決案をだしても1047人問題(国鉄闘争)の幕引きにならないというリスクを考えてのことなのか。
 いずれにせよ、決めたことは反故にすることなく、誠実に対処し、忠実に履行してもらいたいものだ。
 さて、私は、四党合意が提示されて以来の1年余というもの、モヤモヤとした割り切れない思いが、大きくなりはしないが消えることもなく、常に心のどこかに宿っていたのだ。自分のとってきた行動(一票投票○など)を棚に上げていうわけだが、やはり、国労の選択は誤りではなかったのかと、今更ながら強く思うのである。
 結論からいえば、四党合意受諾か否かの決定権は、争議当事者である闘争団員に委ねるべきではなかったのかということだ。(「なかったのか」が2度も続いたのは、己れの考えが未だに曖昧だという証しです)
 この問題は、合理化反対の運動方針等とは全く意を異にする別次元のものではないだろうか。国家的不当労働行為という人権侵害により100人を越える自殺者まで出た。人間としての尊厳を賭けた、人生を左右されることを、大会決定だから従えというわけにはいかない。常に妥協を余儀なくされる労働運動の枠を越えた、それこそ思想・信条を貫き通すべきことのような気がしてならないのである。
 まったくもって、不誠実な政府やJRには苛立ちと怒りでいっぱいだが、国労本部にまで不信が募ってしまったりしている。
 しかし、そうもいってはいられない。現状がどうであれ、最大の争点である解決案については、水面下ではしっかり動いているとみるに越したことはない。相手側はさまざまな情勢を見極め、完全に煮詰まった時点で判断を下すはずであり、予断は許されない。私達一般組合員には突如として知らされることになるのだろう。
 ところで、その解決案の数字だが、はっきりしたものはもちろん公にはされていない。だが、どこからともなく漏れ伝わってくる情報などから得られる感触とでもいうのか、どれもみな低水準というより、まったく話にならないものばかりなのである。
 そのようなものでも国労はよしとして受け入れるのだろうか。闘争団(賛成派)がいいというのであれば構わないが、「こんなはずでは……」と、納得しない場合はどうするのか。国労はなんらかの手を打つだろうが、闘争団に増して拒絶反応がより大きいであろう「闘う国労闘争団」を、国労はこの時とばかり、強権的に切り捨てにかかるのでは……、最後の禁じ手を断行するのではないかという危惧の念が生じて仕方がないのだ。万が一そうなれば、国労は終わりである。
 考えすぎだろうか。そんなことをしたら、私は国労を許さない。許さないからな。そんなことは絶対にないよね、本部!!
○月×日
 夜勤明けで副区長に呼ばれた。
「斎藤さん、試験の結果だけど、えー、不合格です」。
 私は思わず「えっ!?」という言葉が吐いて出てしまった。納得しているはずなのに、まるで耳を疑うかのような、自分でもよくわからずに面喰らったわけだが、「判定ミスなんてありっこないよな」と、心の中で思い直し、「所定ですね」などと笑みを浮かべていったのだった。
 副区長は、「言っている意味が分かりませんが、えー、業務知識、作文、一般常識とも、もう少しでした。また頑張って下さい」ということであった。
 もう、なーんにも尋ねる気はなく、長居は禁物。「とりあえずビールかな」と思い、さっさと着替えて「家路行」の中央線に乗り込んで職場を後にしたのだった。
 アナウンスの主は、元気ハツラツ、前途有望な若い車掌だったが、「おいおいタノムよ、仕事のことは忘れさせてくれないか」と、耳を塞ぎたくなるばかりだった。アーメン。

|

« サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/国労マーク ミス 革マル問題 | トップページ | サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/台風 秋 団結しよう »

サイテイ車掌のJR日記/斎藤典雄」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/389724/8255310

この記事へのトラックバック一覧です: サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/腰痛復活 足元よし 所定:

« サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/国労マーク ミス 革マル問題 | トップページ | サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/台風 秋 団結しよう »