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サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/新組織 国労の危機

■月刊「記録」2002年2月号掲載記事

 ○月×日
 大変なことになった。
 新井修一(前本部執行委員)さんが国労を脱退(12月1日付)した。そして、新組合を結成するのだという。
 新井さんが、国労脱退を呼びかけた、「ジェイアール東日本ユニオン結成趣意書」なる主な文面をそのまま引用する。
 「私たちは、1047名問題の一日も早い解決を求めて奪闘してきました」「第68回全国大会では、抜本的な路線刷新と自己改革を求められながら本部執行部は及び腰に終わりました」「四党合意実現にむけた具体化作業の見通しは一層厳しくなっています」「その最大の要因は硬直化した思想による情勢認識・方針に帰せられます」「もはや、国労内部の自己改革は絶望的であり(中略)国労運動は終焉したものと判断せざるを得ません」「私たちは、展望を見出せない国労運動と訣別し、ジェイアール東日本ユニオンを結成します」というものである。
 改めていうまでもなく、新井さんが、役員に選出されたのは、国鉄の分割・民営化当時、本部が提案した「労使共同宣言」を拒否することによって大分裂をした86年の修善寺大会であった。その後一貫して闘う路線を堅持し、国労組織・運動の中枢を担ってきた。また、四党連合受け入れでは大変な尽力をされ、推進派の急先鋒として国労を指導してきた一人なのだが、そんな新井さんに私たち組合員は全幅の信頼を置き、心から慕っていたのはいうまでもない。 ところが、先の大会前の9月に出された「全国の仲間に訴える」と題した、いわゆる「新井文書」には本当に驚かされ、これまで本部を信じ、何がなんでも支持していこうと必死に努めていた私だったが、「やっぱり裏切られたのだ」と、悲しくも信じられない思いで一杯にさせられたのだった。
 その文書には、「国労が組織体として生き残れる道は一つしかない。それは四党連合に基づく解決案を不満があろうとなかろうと丸呑みするしか方法がないのである」だの、「最後の大会となる」などと主張されていて、極めつけは、反対派に対して「まだ闘えると唱える者もいるだろうが、それは負け惜しみを通り越した無責任極まりないものである」であった。
 無責任極まりないのは、新井さん!!あなた自身じゃないですか。いくら役を退任したとはいえ、四党合意を受け入れた張本人として最後の最後まで支えていく義務があると思うが、どう考えているのだろう。
 それにしても、「国労運動は終焉した」などと、よくも手前勝手なことをいえたものである。確かに国労は、非常に困難な闘いを余儀なくされ、混迷の度を深めているのは事実である。だが、それを克服すべき最大限の努力をしている最中ではないか。非常識な悪宣伝は慎むべきであり、自分の思い通りにならないからといって、「ホナ、さいなら」では、幹部としての資性を疑うと同時に、あまりにも情けない。厳しい現状からの逃避以外の何ものでもないが、残された者への責任転嫁であり、国労解体に躍起となっているJR・権力に手を貸すのも同然の行為として、断じて許されることではない。
 また、本部も本部である。こうした事態は予測されていることだった。なのに大会では、「新井さん個人の意見として尊重される」(書記長答弁)などと、個人の問題であると捉え、危機感が希薄としか思えないような雰囲気だった。本部は、こうした認識の甘さや対応のまずさを十分猛省すべきである。
 本部は早速声明を出した。「『政治の場での解決』を目指して、総団結しよう!」(12月6付)と「新組合結成の『趣意書』に動じることなく国労組合員として確信を持って総団結しよう」(12月14日付)の2点。当然である。
 しかし私は、ここでも解せない。
「脱退・新組織結成」は正当化はできないといっているものの、「呼びかけ(趣意書)もまた、『闘う闘争団』による解決妨害行為を非難している。その非難は全面的に正しい」などといっているのだ。
 何とも歯切れの悪い声明である。これでは、新井さんを擁護しているように受け取れるではないか。しっかりしてくれよ、本部!
 国労は内外の信用をどんどん失墜させているように思えて仕方がない。脱退が全国に波及しないことを祈るが、新井さんという人は上に立っていないと気が済まない、いわゆる「役人病」になってしまったのかもしれない。

 ○月×日
 国労の前途に暗雲が漂い始めている。
 解決作業が膠着状態で、一向に進展しないことにしびれを切らしたのだろう。大変な事態は、なにも新井さんの脱退(新組合「ジェイアール東日本ユニオン」は約600人で12月24日に結成)ばかりではない。
 問題なのは、11月28日の中央執行委員会による決定である。
 国鉄新聞(12月21日付)によれば、まず第一に、「第68回定期(続開)大会で決定した追加方針の『最高裁での判断を公正に行わせる』については撤回する」になっている。
 先の68回大会では、その方針を「改める」と変更したばかりだが、今回はさらに「撤回する」といった、まさに闘う姿勢を後退させるものだ。
 本部書記長は、「闘う闘争団」に対して、「改める」も「撤回する」も同じだと答えたというが(違いますよ)、いくら文面のみの変更とはいえ、「裁判取り下げ」の布石とみるべきだろう。
 大会決定である「裁判の取り下げは解決時」を本部自らが反古にしかねない行為だが、「もうどうでもいから、早く解決案を出して下さい」と投げやりになり、政府に泣きついているかのように映って仕方ない。闘わない争議がいったいどこにあるというのか。
 第二の問題は、「一部闘争団員の新たな訴訟等に対する対応について」だが、これには驚かされた。
 「訴訟が起こされた場合、原告等については規約に基づき処分の対象とし、直近の中央委員会・全国大会で査問委員会の設置を求める」「その間、中央執行委員会の権限(緊急措置を含む)について対応をはかる」「212人の最高裁に対する追加申し立てについては、全員の取り下げを求めて、更に取り組みの強化をはかる」というものである。
 いよいよ闘争団の切り捨てにかかったのか!?
 この間、本部は再三にわたし「闘う闘争団」に対して、「解決の疎外者、妨害勢力」とのレッテルを貼り、「すでに国労から離れた別の組織である」と言いなし、直ちに解散するようにと訴えていた。
 11月16日には、本部委員長名で、闘争団・家族に対し、「最高裁に対して採用差別事件の補助参加追加申し立てを行っている212人に対し、参加申し立てを取り下げる手続きについて、本部に『委任状』を提出すること」という手紙を送付している。
 あわせて本部は、「闘う闘争団」が鉄建公団を相手に新たな訴訟を起こす動きに対しても、訴訟を起こした場合は、「統制処分する」という「査問委員会設置」の決定なのである。
 そもそも、212人の補助参加申し立ては次のことによる。
●国労は1月の67回大会で、JRに法的責任なしとする四党合意受け入れを決めた。それには訴訟の取り下げを求める条項も含まれていた。
●しかし国労は、同時に、その不当労働行為責任を争う最高裁での訴訟に全力をあげることも決めた。
●3月15日の4党協議の場で、国労はその2つの矛盾を質され、「矛盾は早急に解消する」と答えたと伝えられた。
●その「整理」の仕方として、本部は大会決定に反して訴訟を取り下げる可能性・危険性を行ったのである。
 大会決定でもあり、残された数少ない闘いの手段を死守するのは当然のことではないのか。また、何よりも「取り下げは解決時」としているのだから何ら問題はなく、取り下げを急ぐ本部の手紙は理解に苦しむ。
 一方、鉄建公団に対しての訴訟準備についてだが、これも本部が「闘う闘争団」の気持ちを汲み取ろうとせず、聞く耳を持たないが故のことなのだろう。 昨年11月8日の東京高裁の判決文には、「その責任は現実にその行為を行った国鉄と精算事業団が負うべきものである」とあり、「国鉄とJRの実質同一性を否定」した上でJRに法的責任はなしとしたが、不当労働行為がなかったとの判断はしていない。これは地裁も同様である。
 従って、現在の責任の所在を求めるとすれば、精算事業団を継承している政府・鉄建公団ということになる。
 「闘う闘争団」は今後の困難は百も承知だ、なんとしてでも納得のいく解決を求めるという切実な思いでいる。展望を切り拓くためには考えられるありとあらゆる闘いを構築するといった現れが、この訴訟に踏み切ろうとしていることは明らかである。
 自ら大会決定を反古にしている側が、必死で闘っている「闘う闘争団」に責任を転嫁していること自体が言語道断だが、今度は、国労組合員であるがために解雇された仲間を、闘いを指導してきた国労自身が処分・切り捨てようとしているのである。
 15年という苦難の道程は当事者でなければ分からない。本部はそれを本気で考えてくれているなら、そんなことは出来るはずがない。常識ではとても考えられないことである。まったく信じられない。これがおれがいた国労だなんて、もはや怒りを通り越し、悲しくてかなしくって、やり切れない思いだよ。なんまいだぶ、なんまいだぶ、なんまいだぶ・・・・・・。

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