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サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/国労内紛 お義父さん スランプ

■月刊「記録」2001年4月号掲載記事

○月×日
 なんだか悲しくもある。
 全国大会が終わり新しいスタートを切った国労だが、組織の現状は必ずしも大会で決定された方針で大同団結するという、本来の労働組合の姿にはなっていない。
 36闘争団のうち20闘争団と有志(約半数の500人)は、「四党合意」に断固反対し、大会前の1月24日と大会終了時の1月27日の2度の記者会見で「政府・JRの責任を追求し、今後も団結して闘い続ける」と態度表明をしているわけだが、これに対して本部は2月6日、「一部闘争団員の阻害行動への対応について」という指示文書を発した。
 要点を抜粋すると、「何よりも大会前の国労の組織状況を如何に一枚岩にしていくかが解決にとって水準を高めることにとって重要であり……、しかし、既に2名の闘争団員を代表とする『「解雇撤回・地元JR復帰」を闘う闘争団有志(仮称)』が結成され、国労機関・共闘の方々に会議の召集を行っています……、国労として、このような行動は、認めることも許すこともできない状況であり、総団結作りを阻害する行動と云わざるを得ません……、各級機関・全組合員がこういった行動に対して、参加せず国労に総団結する事を徹底されたい」というものだ。
 一読すると、組織の引き締めを図る本部の当然といえる指示であり、よくわかる気もする。だが、反対派はどうしても納得できないから反対し、本部に軌道修正を求めているのだ。
 国労はかつて、社会党一党支持の運動方針を決定していたが、共産党支持の人だって大勢いたでしょう。組合員の政党支持の自由は保障され、強制などされていなかったのだ。
 今回だってこれと同様なはずで、なのになんだか、正当な批判としての反対勢力を、あたかも敵対者や組織破壊者であるかのように決めつけているように感じられてしょうがないのだ。そして、行く行くは排除してしまうのではないかという危惧が生まれるのだが、そんなことはゼッタイないよね、本部!!
 それにしても、今日まで一つにまとまり闘い続けてきた仲間同士が、何故これほどに近親憎悪が募り、深い溝を修復できずにいる背景は何なのか。
 ここでは運動論は横に置いて考えたい。
 本務の私たちは差別こそあれ、首を切られた闘争団とは来し方に雲泥の差があると思う。訴えに耳を傾けると、筆舌に尽くせぬとか人生を賭けたとよくいわれてきた。その通りだろうが、この受け止め方は千差万別であり、皆本当にわかっているのかと思ってしまう。
 いったいどれだけ歯を食いしばって生き抜いてきたのか(これからもだが)、例えようのない想像を絶する苦しみが伴ったことと察する。本部や賛成派の代議員は、運動論や方法論に偏り過ぎて、人間としての尊厳や正義感、人権感覚が麻痺してしまったのではないか。これだけは譲れないのだという闘争団・家族の心情を心から理解できていなかったのではないかと思えるのだ。それは、私自身も含めた一票投票に○を投じた多くの組合員も然りである。
 また、本部がいう「四党合意」は到達点、苦渋の選択というのもよくわかった。がしかし、説明不足だったのか、「本部を信じてくれ」だけでは説得力に欠け、あまりにも不安が大きすぎた。一般組合員の私でさえそうなのだから、一生を左右される当事者の闘争団にはなおさらではなかったか。
 それに「JRに法的責任がない」を認めても、不当労働行為と認定した労働委員会命令は歴史的に消すことはできない、ともいうが、仮りに最高裁で負けたとして「労働委員会では勝ちました」などと言う人がいるだろうか? 世間一般には最後の結果が映るのであり、負けは負け、「国労は働かない」「勤務成績が悪い」などのレッテルは一生消えることはなく、名誉回復など論外となってしまう。
 組合員の一票投票でも、闘争団においても、「四党合意」については意見が五分五分の真っ二つだった。それを考えれば、もう後の祭りだけれど、採決に持ち込むべきではなかったのかもしれない。賛成多数で可決されたといっても、主流派代議員の人数が多かったからに他ならない。
 もはや、全てが都合のいいこじつけのように聞こえてしまう。本部が「許すことの出来ない」とした反対を叫ぶ闘争団こそ最も人間らしく感じられるし、方針を180度転換したのだから仕方のないことだが、これこそこれまでの真の国労の姿だったのである。本部を支持し続けた私がいうのも変だが、私自身今すぐ気持ちを切り替えろといわれても無理がある状況になっている。
 だが、それでもやっぱり国労である。国労組合員なのだ。当たり前に生きていきたい。いいたいことは言わせてもらう。
 本部はこれまで以上に闘争団・全組合員との十分な意志疎通を計り、一丸となってやるべき手の限りを尽くしてほしい。納得のいく解決が示されますように……。

○月×日
 お義父さんは国鉄職員だったのである。昔でいう転勤族で、東京から地方をあちこち回り、定年して既に30年近くの歳月が過ぎた。
 従って、分割・民営化の混乱などの体験はないが、節々の出来事は当然気に掛けていたはずで、JRの現状もどこからか必ず耳にして、由々しき事態は心なしか憂慮していたにちがいない。
 というのは、お互いの考え方があまりに違いすぎて、この種の話になると全く噛み合うことがなく、決まって、強い当局(義父)、弱い国労(私)という態勢に持ち込まれ、それがイヤでイヤで、いつの頃からか、私の方から話題にすることは、意識的に避けていたからだ。
 それでも以前は、私がお義父さんと同じ国鉄職員であること(親戚中で私一人だった)を喜んでくれていた様子だったが、最近では、この通り、私、この上なくふがいないものだから、呆れ果てていたことだろう。情けないことだが、普段は気まずいとか、そういう関係では決してないです、ハイ。
 定年後は生まれ故郷の新潟に戻り、習字を教えたり、畑や庭いじりと悠々自適の生活を送っていたのだが、ここ10数年間といったら癌を3回も患うという受難続きで、なんとも気の毒だったのだ。
 それにしても奇跡的であった。高齢にしてその度の大手術を乗り越えては、驚くほど元気でいられたのである。苦しくないといえばウソになる。でも、口に出すような人ではなかった。
 いずれにしても、とってもしあわせだったと思う。親孝行の子ども達(含む妻、除く私カッコ閉じ、と、大勢の孫達に囲まれて、それこそ献身的な世話を受けながら、ここまでこられたからだ。
 思い出は尽きることはない。もう二度と会えなくなってしまった。本当に静かに息を引きとった。お義母さんも5年前に亡くなり、ひとつの時代が終わったのだなあ、としんみり思った。さようなら。不肖な私を許してほしい。ごめんなさい、お義父さん。

○月×日
 どうしよう。完全なスランプに陥ってしまったようだ。ここ一両日中に仕上げないと穴が開き、本当に大変なことになってしまう。
 原稿用紙を前に机に向かうものの、何も浮かばずさっぱり書けない。音楽を聴いても、冷蔵庫を開けても、風呂を掃除しても、ビールの栓を抜いても、なーんにもヒラメカナイのだ。
 なにも今に始まったことではないが、こうした兆候は去年の暮れ頃からあったように思う。
 私は「運賃誤表示問題」について書いていた。発端は横浜線利用者からの指摘だったが、JR東日本管内だけで2割を超える駅に誤表示が見つかり、四国を除く全国に広まるというお粗末さ。その結果、JRは3年間にわたり高く取りすぎていたというものだった。JRのチェック体制の甘さが問題なわけだが、私の場合、悪いのは鉄道マニアだという結論に達したのだった。マニアならば、誰よりも早く間違いに気づいて然るべきだと。当然ボツになった。
 また、「JRに法的責任あり」について書いていた。これも、闘争団を一人も路頭に迷わせることなく問題解決にあたるのは、国労の責任だと。だから悪いのは国労だという結論に達し、やはりピントがずれてボツになった。いずれも、あらぬ方向に怒りが向いてしまったのだが、私はなぜか、このようにいつもピントがずれてしまい、誤解を招きひんしゅくを買うことが実に多い。
 いつも一緒にいる妻でさえ、私を不真面目だと思い込み、常に真剣であるということに気付いてくれない。
 すっかり春めいてきたというのに悲しいことだ。3月6日には、青梅線の早朝からの事故の影響で、中央線の朝のラッシュも混乱したが、夕刊(朝日)に大きく報道されていた。踏切を渡ろうとしたワゴン車が、誤って線路を200メートルほど走って立往生したという信じられない事故だが、調べによると、踏切を渡った後に右折するところを、踏切内を交差点だと思い込み右折してしまったということである。
 苦笑せずにはいられない。私とどことなく似たような人もいるのだね。やっぱり春か。どうしたら書けるようになるのだろう。

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