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サイテイ車掌のJR日記・斎藤典雄/二次試験合格 アジ いぶき

■月刊「記録」1998年12月号掲載記事

○月×日
 指導職試験の一次に合格後、「どうしても受かりたいから」と国労を脱退し、東労組に加入したO氏が二次試験にメデタク合格した。私はいくらなんでも、国労脱退後いきなりはないだろうと読んでいた。まあ、まず今回は不合格ということではないかと。
 会社は「差別はありません」と胸を張って言うだろうが、よくぞまあこうも露骨にやってくれるものだと感心せざるを得ない。
 O氏は合格後、見ていて気の毒なくらい常にうつむき、肩身が狭そうだ。脱退時にも増してオドオドした様子になっている。「希望が叶ってよかったね、おめでとう」と、優しい言葉の一つもかけてあげたいが、そんなことを言ったらイヤミにしか聞こえないだろう。私はとことん人間ができていないのだ。
 O氏には、これを契機に新たな道を切り開いて欲しいと切に願うが、なんだかこんなことはもうウンザリである。イヤだイヤだ。さぁ明日も乗務だ。JR中央線を乗りまくるぞー。

○月×日
 時は流れている。情勢も刻一刻と変化ししている。
 国鉄清算事業団の期日(10月1日)が過ぎてしまった6日、旧国鉄債務処理法案がすったもんだのあげく衆議院を通過した。内容はJRの追加負担を1800億円に半減するというもので、結果的に国民負担が増えることとなった。
 新聞やニュースを見る限りでは、まるで倒産した店の半額セールのような安直でお粗末な案としかいいようがない。なぜ半分の1800億円なのか、なぜ一民間企業であるJRに押しつけるのか。何の根拠もないようであり、許せない。国の借金なのだから断固国の責任において処理すべきである。
 まさに今日までの膨大な時間のなかで審議を先送りしてきた、政府の怠慢以外の何者でもない。どこぞの銀行に何千億円もの税金を投入するなどといっている場合ではないではないか。今ほど皆が生活の安定向上を願っている時期はないだろう。不況は深刻で、戦後最悪の失業率だというのだ。
 先月の終わりには労働基準法が改正され、裁量労働制の拡大が参議院で成立した。さらに今度は労働者派遣法が提出されている。労働者の不安は募るばかりだ。私は一人でプンプン腹を立てているだけで何もできないが、こうした激変のなかで迎える21世紀のことを考えるとちょっぴり心配になってくる。

○月×日
 職場のサークル「国労釣り部」の大会があった。場所は相模湾、船でアジ釣りである。ちなみに春は富浦(千葉・内房)にてボートのシロギス釣りと決まっている。 私も以前なら、映画『釣りバカ日誌』のハマちゃんなみに入れ込んだ時期もあったが、ここ数年は年に一度行くか行かないかになってしまった。だから釣り部といっても名前だけの部員である。
 今回は休み(年休)にも重なったため、古い道具を引っぱり出し、大漁を夢みて意気込んでいた。なにしろ海底百2、30メートルもの深みに仕掛けを落とすのだから、一匹釣り上げるのも一苦労。今はボタン一つで自動に引き上げる電動リールが出回っているが、私のは古い手動式である。それでも昔はそれで何の苦にもならなかったのに……。
 また、釣りといえばのんびり糸を垂れるイメージがあるかもしれないが、行くと決まってのんびりできない。一匹でも多く釣り上げようと、一分一秒でも惜しみなく片時も釣り竿を離さず必死となる。そりゃあビールも飲むし、おにぎりも食べるのだが、釣りは止めない。船酔いに耐えきれず、コマセとばかりに飲み食いしたものをまき散らし、それでもなお釣り続けるのである。まさに闘い。「国労だからってなにも海にまで来て闘わなくたって……」と思うが、私も当然この闘いに巻き込まれて行くのだ。
 さて、超大型の台風10号接近の影響もあり、夜明け前は曇りで時折小雨もパラついていたが、だんだん晴れ間が広がってきた。しかし、どしゃ降りだろうがかまわない。船が出て、釣り糸を海に放り込めさえすれば私達は満足なのである。
 相模湾へ着くと思ったより風が強く、ウサギのような白波が波の上をぴょんぴょん飛び跳ねていた。「これからもっともっと荒れ狂いますよ」と海が警告している。案の定、船宿はすべての出漁中止を決めていた。
 これだけは仕方ない。このようなこともあるのである。こんなことで挫けてはイケナイ。私達は果てしなく広がる誰もいない海を目の前に、ただ呆然と立ちつくしていた。潮風の集中攻撃を一身に浴びながら、若干一名が「斎藤なんか来るからだよ」とつぶやいた。今晩のおかずはアジの予定であった。これは一ヶ月前から決まっていたことである。今さら変更はきかない。
 魚屋に寄って帰った。

○月×日
 国労三鷹車掌区分会機関紙『いぶき』第42号、98年9月25日発行
 発責・中山貴博、編責・教宣部
「試験を利用した脱退強行!」
 すでに明らかなように、8月13日付をもって、「試験に受かりたい」との理由で××氏が国労を脱退しました。「国労にいたのでは試験に受からない」が主な理由であるが、脱退に至るまでの事実関係の背景には会社側の巧みな試験制度を利用した脱退策動があったのである。会社の試験制度を利用した不当労働行為は明白である。
 以下、本人との話の中で明らかになった事について報告します。
 ※三年前、相原駅駅長(国鉄時代からつき合いのある人)に合った時、「俺はまだ二等級で大変だ」と話したら、駅長は車掌区の××区長は町田駅長時代から知っているから話をしてやると言われた。国労ではダメだ! とも言われた。しかしこの年は一次で落ちた。この時はたんなる話と受け止めていた。
 ※今年一次試験が受かり、この人に電話をした。駅長は、××車掌区長に電話してやる。俺からも受かるようお願いしてやると言われた。
――このように、一次試験発表後相原駅長に電話をした時、「国労…」の話がされたことは用意に推察できる。以前から区側と具体的なコンタクトが取られていたと同時に、区側のA助役や内勤に、この動きが筒抜けになっていたのである。
 私達は、××氏が今日まで頑張って国労の旗を揚げてきた強い意志までを砕き飛ばし、賃金差別という弱さに巧みにつけこんできた会社側の態度を断じて許す事は出来ない!!
 現在進められている昇進差別審問を見てもわかるように、立川車掌区・会社側証人は国労組合員憎しで「試験に受からないのは当たり前」の論調を繰り広げました。9月29日から八王子車掌区・会社証人の尋問が始まりますが、同じ論調を繰り広げることでしょう。
 私達は、こういった「国労にいたのでは受からないよ」という会社側の発言の事実をもって、差別の実態を明らかにしていこう!!

 以上は分会の伝統ある機関紙『いぶき』の文面である。五日間提示した。××部分(=筆者)を実名にしたため、分会長が区長より「実名はいかんよ」と注意を受けた。
○月×日
 『いぶき』を掲示板から取り外した約半月後、東労組の機関紙『みたかきいたか』が掲示された。これは東労組の常套手段だが、例によって厚顔無恥で言語道断の内容であった。私達執行部は右往左往どころか笑止とばかり、相手にする気も失せてしまったのである。
『みたかきいたか』第2号、10月16日付
「国労三鷹車掌区分会役員を糾弾する」
 9月29日、国労三車分会が発行する「いぶき」42号に我々東労組が抗議したところ、我々東労組に全面的に屈服・服従し、国労役員自ら「いぶき」を掲示板から撤去しました。
 この「いぶき」の内容は、東労組組合員の実名を上げ、「脱退を強要した」と言うもので、あきれることにその内容は全てでっち上げで、根も葉もないデタラメな事実無根の嘘情報だということです。
 国労は落ちるところまで落ちてしまったようである。ここまでカスになりはてた国労を見ていると、怒りを超越して情けないかぎりである。
 我々の抗議に対して直ちに従ったのは、自らがとんでもない過ちをおこしたことに気が付き、自らの愚かな行為に恥じ入ったからである。国労三車分会役員は我々東労組に完全に敗北したのである。
 国労分会役員の諸君、抗議をされてすぐにコソコソと隠さないといけないような情報を提出するのはみっともないからおやめなさい。だいたいこんな嘘情報を書く暇があったら、もっと書かなければならないことが他にあるではないか。
 国労の定期全国大会について一言も掲出しないのはなぜか。そんなに国労組合員に知られるとまずいことが大会であったのか。「東労組の掲示を見ないと本当の情報がはいらない」と嘆く多くのマジメな国労組合員達の声になぜ応えてやらないのか。
 真面目な国労組合員のみなさん、ここまで腐り果てた国労にあなたはまだ身を置いていくのですか。

 以上なのだが、私はこういう挑発的な行為にすぐに乗せられてしまう浅はかなたちだが、東労組はいったいどういうつもりなのだろう。全国大会の提示にしろ出す出さないはこちらの勝手だし、すべての情報は全組合員に機関紙等を配布して知らせているのになぁ。

○月×日
 私達分会執行部は東労組の掲示に対しての反論はしないこととした。つまり掲示はしないということである。ただ執行委員会の経過だけは知らせようと、文書にして全組合員に配布した。

 『みたかきいたか』10月16日付について
 国労三車分会執行委員会 10月22日
 東労組掲示についてあえて反論をする意志はありませんが、執行委員会で確認した内容について報告しておきたいと思います。
 あの掲示が東労組の総意かと言えば、まじめな東労組組合員が可哀そうなので、ここはJRに巣喰う「寄生虫」とでもしておきます。
 <まず掲示『いぶき』を外した経緯について>
 9月29日15時30分頃、Oさんから『いぶき』について、「だれが書いた」「まわりの人に迷惑がかかる」「俺をそんなに苦しめないで、ほっといてくれ」「あんな書き方ならこっち(東労組)と同じじゃないか」「(国労に)帰る気があっても帰れない」「早く剥がしてくれ」「やめられる(退職)ものならやめたい」と泣きじゃくりながら訴えられました。
 そこで、掲示を外すに至った理由として、一つは本人の動揺が大きかったことです。泣きながら訴える姿は、精神的に安定しているとは思えず、乗務などに影響してはいけないという思いがありました。
 二つとして、東労組の特に「寄生虫」を中心に、国労とのやり取りの中でOさんをどう追い込んでしまうか、Oさんが精神的に追い込まれてもおそらく「寄生虫」は何も構わないのではないかという不安感がありました。 そして三つとしては、「寄生虫」たちにも会社にも、国労が事実関係をすべて把握していることが明らかになったということです。例えば、Oさんが東労組加入の時の掲示に「国労に嫌がらせ……」と書いても所詮でたらめであり、Oさんが言っていることではないし、嘘がバレてしまっているなど、すでに掲示の役割は果たした? のではないか……等の理由により執行部判断で掲示を外しました。
 その後、区長・「寄生虫」が後を追うように来て、区長が「提示責任者は後で来てくれ」と言いました。そして区長室にOさんと「寄生虫」が入っていった模様です。
 以上が『みたかきいたか』で言う「全面的に屈服・服従」した状況です。
 唯一、Oさんの実名が入っていたというのは事実です。国労で一緒に闘ってきたOさんが、昇進差別の会社の攻撃の前に倒れたことに対しての悔しさといいますか、闘ってきた同志に対する「思い」の中での実名でありました。しかしこのときOさんはすでに東労組の組合員であったことも事実でした。
 いずれにしても、「寄生虫」の相手をするつもりはありませんし、全く中身のない幼稚な文章やくだらない挑発にのるつもりはありません。逆に『みたかきいたか』が東労組の機関紙だとすれば、「寄生虫」たちはこの先必ずや孤立して行くことでしょう。
 「寄生虫」に「カス」といわれる国労執行部ですが報告を終わります。

 さて、二日間の休暇明けで出勤すると、執行委員会の経過が組合員に配布されていないのであった。分会三役の決定で急きょヤメにしたのだという。何よりも脱会したOさん本人の気持ちを思ってのことだが、職場の雰囲気がこれ以上険悪になるのはマズイという判断もあったようだ。国労組合員だけに配るといっても、どこからか必ず漏れて東労組が動き出すのは目に見えており、暴走されては「キケン」ということであった。

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