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サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/続開大会 フェーン現象 ソウル

■月刊「記録」2000年10月号掲載記事

○月×日
 お盆が過ぎて、夏の終わりをふと感じた。厳しい残暑は当分続きそうだが、青空に浮かんでいる真っ白な雲や、Tシャツを軽くなびかせる早朝深夜の冷んやりとした微かな風に、秋の兆しが漂う。そのどれもが真夏のそれとは微妙に異なり、なんだか切なくなってくる。夕方の蝉時雨が鳴りやんだかと思うと、夜の静けさに秋の虫の音が広がってくるのだ。
 この夏は病欠後ということもあり、これといった予定も立てずに来る日も来る日も暑い暑いと呟いていただけだったが、図書館にはよく通った。お金を使うことがない上、街中の喧噪とは逆に静かで涼しいのがなによりだ。しかし、活字に目を落とすものの頭に入らないことが多く、学生風の女の子の横顔ばかり眺めているというアブナイ状態であった。結局は何もしていないのと同じである。
 夏の夜の風物詩の一つ、国営昭和記念公園と東京湾の花火も素晴らしくキレイだったが、浴衣どころか制服制帽の乗務中に見ただけで、行ったわけではない。
 帰省もしなかったし、海にも行っていない。ひまわりも見ていないし、蚊にすら刺されていない。
 家にいれば、昼間から缶ビールで喉を潤しジャズなんぞを聴き、一日中ランニングシャツとステテコ姿ときたもんだ。ランニングシャツ一枚で「JRに法的責任あり」、ステテコ一枚で「国家的不当労働行為は許されない」などと考えているのだが、本当にこれで大丈夫なのかと自分でも不安になったりして、なんかヘンなのだ。つまり、夏らしいことは一つもしていないのである。
 そういえば、パソコンと向き合っている時間が多くなった。息子のケータイに電話すれば済むことでも、いちいちメールで送ったりしている。「今どこにいるんだ? 晩ごはんはカレーだよ」。そして息子から来る返事はといえば「また海に行くからお金ちょうだい」である。誰に似たのか、ちっともまともに答えていない。
 ふと、過ぎゆく夏を惜しむといった表現が、他の季節にはないことに気づいた。何か特別なのだろうか……。

○月×日
 休会となった7月1日の臨大から1ヵ月以上が経ち、8月26日の続開大会まで残すところあとわずかとなった。
 四党合意をめぐった意見対立は熾烈を極め、労働運動界全体を揺るがしているといっても過言ではない。このまま国労はまとまり切れないのではと誰もが感じていることだろう。
 本部に対して不信・不満を募らせ、半信半疑に陥っている組合員も少なくない。「JRに法的責任はなし」は断じて認められないとする各支援団体が入り乱れており、イデオロギーに固執するあまり、現実路線からどんどん遠ざかっていくような気がしないでもないが、仕方のないことだろうか。
 また、36ある闘争団のうち、22の闘争団が、四党合意撤回と大会中止を求めているという。つまり、本部が闘争団を説得しきれなかったわけである。
 当初の本部説明では、「四党合意の確認だけの大会にはしない」「政治と同時進行で動いている」「大会では解決案を示し、討議資料を出すようにする」ということだったが、前回の臨大ではそれらが守られず、今回も実現しそうな情勢にはない。
 また、解決水準についてはさまざまな情報が乱れ飛んでいる。例えば、解決金は80万円で、採用(雇用)は75名等々。四党合意を通り越して悲しくなるばかりだが、「本部に裏切られた思いだ」とする闘争団の気持ちは当然であるし、これで納得しろという方が無理な話ではないのか。早期解決は誰もが一致した思いだが、どのような解決でもよいということにはならない。13年闘った到達点がこれでは済まされない。どうしても譲れない一線があるはずだ。ま、本部も重々承知のことで、いうまでもないことであろうが。
 私は、最後の最後まで闘争団を支援していく気持ちに変わりはないし、今でも本部を信じている。「闘争団を切り捨てるようなことはしない」といった本部を、心の底から信頼している。複雑な思いがあることは確かだが、続開大会では、闘争団を私達組合員をぜひ納得させてほしい。
 ここまで漕ぎ着けたチャンスを無駄にすることなく、一致団結して大会を成功させることだけを願う。

○月×日
 続開大会は、8月26日午後1時から社文会館で予定通り始まり、高橋委員長の特別発言を全体の拍手で承認し、何の混乱もなく約10分で終了した。
 中身は、「JRに法的責任なし」などの四党合意の採決は行わない。四党合意の賛否は全組合員による一票投票で決めるというものである。
 この日の朝刊に大きく報道された「執行部総辞職」(四党合意を執行部の判断だけで受け入れた結果、組織内外に大きな混乱と不信を招いたため)については、大会直前の全国代表者会議で一転して、辞表は委員長預かり、10月の定期全国大会で「信を問う」ことになったのだという。
 本部はこの間、たび重なるオルグや会議、また、交渉や申し入れの受け入れなど、大変な苦労があったわけだが、反対派との意見の隔たりは大きく、組合員の混乱と不信は増すばかりであった。結局は、現局面の混乱を回避すべく、組織の統一と団結を大切にする道を選んだといえるだろう。
 高橋委員長は発言の冒頭で、7月1日の臨大が5時間遅れて開催されたこと。混乱で休会になったこと。その後、闘争団や全国の共闘関係者に大きな迷惑をかけたことに対して深くお詫びをした上で、
一つ、当事者である闘争団との意見交換、合意形成が不十分であった
二つ、解決案の具体的内容を示すことが出来なかった
三つ、職場討議をする時間的な保証と情報の提供が不十分であった
四つ、支援共闘、連帯していただいていた方への配慮が足りなかった
と、これらの事実を述べ、心からの反省を示し、理解を求めた。そして、先の提案となったわけである。
 いずれにせよ、今後の焦点は、組合民主主義の観点から行われる四党合意の賛否を決める一票投票に移ることになるが、9月18日から始まる10月の定期全国大会の代議員選挙と同時に実施するのだという。
 投票の結果は予断を許さない情勢だが、もし過半数を超えて四党合意が承認されるとなれば、現執行部は一旦総辞職はするものの、何人かは続投となり、かすかに残る政治解決への道をなんとしてでもつなぎ止めようとするはずである。また、否決となれば、四党合意は撤回されて新執行体制となり、最後の最後まで闘い抜くことになるのだろう。
 まったくもって前途多難なわが国労だが、これまでの13年間の紆余曲折を乗り越えてきたことを思えば何のことはない、はずだ!?

○月×日
 ふう、アツイ。暑いなんてもんじゃない。アヂアヂ、アヂ、まさにドライヤーの熱風さながらなのだ。9月になったというのに、フェーン現象とやらで今年一番の暑さだという。
 私は2週間おきの通院の日であったが、その帰りに普段は滅多に入ることのない喫茶店に駆け込み、アイスコーヒーなんぞを注文して涼をとったほどだ。店にあった週刊誌(新潮)に目を通すと、「国民はとっくに忘れている『国労』という組合」という見出しで、先の臨大のゴタゴタが載っており、最後は「きっとそのまま消えていくのだろう」などと締め括られているではないか。まったくもって看過できない内容だったが、「ふーん」とやりすごしただけで、相手にする気も起きなかったのだ。
 また、丁度休みだったので、あちこち寄ったりと予定を立てていたのだが、暑くて暑くて、そんな気はすっかり失せてしまい、猛ダッシュで(自転車だけど)帰宅したのだった。
 で、クーラーを入れるや否やステテコ一枚になり、とりあえずビールだ!! とワイルドに栓を開けたわけです。早く夕方になれと願いつつ、ほろ酔い気分でベランダに出ようと窓を開けたら、熱風の進入と共にいきなりブレーカーが落ちてしまった。それくらい暑いのである。
 暑い暑いと何百回口にしたかわからないほどの暑い夏だったが、季節は変わっている。翌日からは打って変わって、何日間かグーンと涼しくなり、風と空は秋になった。

○月×日
 妻がソウルに行くことになった。職場の旅行なのだが、初めての海外旅行である。
 とても楽しみにしているようだが、日が迫るにつれ、どこかしら不安が入り交じっているのがありありと分かる。どこで聞いてきたのか、行きの飛行機はよく落ちるらしいなどと口にするようになり、しまいには「そうなったら、あなたは嬉しいんでしょ」とくる。
 先ごろ実現した、南北統一に向けた和解の話し合いは記憶に新しいが、妻にはそうした雰囲気に触れてくるなどといった高尚さは微塵もない。ただ行くだけ。行ってカルビなどの焼き肉をたらふく食べ、無駄と知りつつ、少しでも美しくなろうと韓国式エステに行く。それだけで大満足であるはずだ。
 ま、それでいいのだけれど、なにさ、そんなことは東京にいても十分出来る。私なんか夕べ、都内の某焼き肉屋で一足先に韓国体験を済ませてきたのだ。本場の焼酎をがぶ飲みしながら、カルビだってしこたま食べたのだ。羨ましくも、何ともないもんね。

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