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サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/永年勤続者表彰式 ビデオ 第67回全国大会

■月刊「記録」2000年12月号掲載記事

○月×日
「25年永年勤続者表彰式」が京王プラザホテル八王子で行われた。受賞者は八王子支社内では151人、JR東日本全体では約3000人ということだった。当初はどうしたものかと悩んでいたのだが、何でも見ておくことが自分の務めだと思い、妻同伴で出席した。
 華やかさの中にも厳粛な空気が漂い、あちこちから「おめでとうございます」という心のこもった言葉が響きわたる。今日のこの日を大過無く迎えることができたのは、やはり慶ばしいことで、大変おめでたいものだと素直に思えた。
 ただ一つおかしかったのは、表彰式での組合の来賓が東労組八王子地本委員長1人ということである。わが国労と鉄産労の委員長は招待されていない。昨年からなぜかこのような扱いになっているという。
 あいさつは社長(支社長が代読)から始まり、支社長、現場長代表と続いた。その内容はといえば、私たちが入社した昭和50年から国鉄時代の12年間とJRの13年間、国鉄改革を乗り越え、JRが発足するという激動期をよく頑張ってくれたとの賛辞である。それには家族の支えがあったからこそと強調され、今後は早期に完全民営化を達成しなければならないということであった。
 なかでも印象に残ったのは、JR東日本は世界で最も尊敬される企業の一つになったという社長の言葉である。これほど問題を抱えた企業に対して、私たち一般社員との認識の違いはどこからくるのかと、改めて考えさせられた。しかし、受賞者代表のあいさつの後は立食式の懇親会(パーティ)に移り、飲めばすぐ酔う私であった。
 私は駅長や助役にならなくて本当によかった(なれるわけないけど、酔ってですから、あしからず!!)。国鉄時に車掌試験に受かって以来、出発進行の指差確認一筋、22年にもなるわけだが、なりたての頃は、まさかこんなに長く車掌をやっているとは思いもしなかった。でも、今ではサイテイ車掌で十分満足して、日々励んでいる。さすが優良企業の人事である。しっかりと私を見抜き、選考を誤らなかったのだから……。
 いずれにせよ、俗にいわれている「もうろく賞」を貰ったからといって、もうろくするにはまだ早い。今日を境に新たに頑張ってほしいということでもあった。人は一生頑張らなければ生きていけないのだということを、実感を持って感じることのできた有意義な一日であった。

○月×日
「四党合意撤回を求めて」(ビデオプレス制作)のビデオを観た。先の続開大会を前に上京した闘争団が本部と交渉を行ったドキュメントである。
 今なお揺れに揺れている国労だが、闘争団の本部にぶつける切実な生の声は、まさに生死をかけて13年間を闘ってきたのだという思いが滲み出ていて、目頭が熱くなるほど胸が痛む。しかし、感傷に浸っている時間はない。怒りのやり場に困り、ただただやり切れないとしかいいようがない。苦境に立たされているのは皆同じ、国労全体なのである。
 具体的な解決案のない四党合意は撤回すべき、とする闘争団は「本部は闘争団を切り捨てるのか、おれたちの人生を勝手に決めるな」と迫る。一方、四党合意は到達点、解決のラストチャンス、とする本部は「続開大会では四党合意の採決は行わない」「一票投票で賛否を問う」と決定するに至るわけだが、この交渉における闘争団の問いかけ(追求)には、ほとんどまともに答えていない。というより、本部自らが自信がなく、答えられないという見方が正しいのだろう。
 一票投票で○(賛成)をつけた私は、重大な過ちを犯してしまったのだろうか……。
 闘争団の声を二つ三つ記しておきたい。
「ぼくらは13年間、本部からJRに責任ありと教えられてきたんですよ。それが1日でひっくり返るわけでしょ、すごい問題なんですよ」
「本部は組合員の代表なんですか、自民党の代表なんですか、運輸省の代表なんですか、それを聞かして下さいよ」
「このことに生死をかけているんだよ、○×グループだか、○×一派だかしらないけれど、政党的な考えで、私たちはそんなレベルでやっているんじゃないんですよ、家族の命をしょってやっているんですよ」
「うちの母さんは闘争団やってから服買ったことないですよ、そんなお金あったら子どもに着せてやりたいから、皆そんな思いでやってきたんだ、それが5月30日、ある日突然みたいに、新聞で四党合意、JRに責任なしっていわれて、子どもがそれ見て、おやじ何のためにやってきたんだって母さんにいったら、母さん、私なんか死ぬことなんか恐くないて、そんなふうに、家族を、追いつめる……、委員長……(絶句)」
 このような思いをしてまで必死で生き抜いてきた闘争団が、人間失格みたいに労働者としての首を切られる理由などあるはずがないではないか。こうして、人間として闘い続けた、意欲のある者こそが必要とされる世の中であってほしい。
 これほどまで苦しく、辛い境遇に置かれた争議を、私は他に知らない。

○月×日
 10月28日から29日にかけて、国労の第67回定期全国大会が社文会館で開催されたが、またも反対派の激しい抵抗により休会となった。四党合意を含めた運動方針案の討論にすら入れずにである。
 1日目は午前10時から開催された。冒頭、高橋委員長の挨拶はこれまでにない異例の長さで、55年余りに及ぶ国労の歴史と伝統を振り返ることから始まり、理不尽な攻撃に対しては屈服するのではなく闘わなければならないというものだった。
 そして、執行部が四党合意を受け入れるに至った経過を詳細に述べ、「四党合意を承認した後、(政府は)さらなる譲歩を迫ってくることは十分あり得る。冷静かつ慎重に対応すべきだ」などと、四党合意を否定はしないにしろ、執行部を暗に批判するような発言だった。
 この日は、経過報告を巡って10人の代議員が発言した。「四党合意を蹴って今後の展望はあるのか。賛成が55%を占めた一票投票の結果を厳粛に受け止めるべきだ」との賛成意見も出たが、ほとんどが執行部を厳しく批判する反対意見であった。
「四党合意受け入れは執行部の独断だ。JRに責任なしを認めるのは妥協ではなく屈服だ。執行部は四党合意を撤回して即時総辞職せよ」というものばかりで、「経過報告を認めるわけにはいかない」とする執行部の責任追及に終始し、夕方には承認される予定だった経過報告は翌日に持ち越されるという異常事態となり、午後6時過ぎに終わった。
 2日目は9時30分過ぎから開催された。議事運営委員会と議長は、経過報告と運動方針案を同時並行して討論することを提案したが、反対派は切り離すようにと強く求め、すぐに紛糾。長い休憩(執行部による舞台裏での調整)後、結局、経過の討論を先行させることになり、反対派の代議員を中心に8人が発言した。
 宮坂書記長の中間答弁では、総辞職については「全員が総辞職し、新しい執行部を作ることは再三申し上げたとおり」と、再任しないことには一切触れず、壇上占拠については「本部見解は暴力行為を否定したもので、闘争団を暴力団呼ばわりしたものではない」と述べた。要するに闘争団との本部交渉など、従来の発言を繰り返すばかりで、真新しいことは一言もないというお寒いものだった。時間はどんどん過ぎ、議事予定は大幅に遅れていった。
 午後からは経過の質問を打ち切り、承認手続きにはいるとして無記名投票で採決することが提案されたが、反対派が猛反発。場内はまたも騒然となり紛糾。休憩は約2時間に及んだ。
 閉会予定時間の午後3時が過ぎ、3時30分頃、再び議運から、採決するとの同様の提案がされ、場内閉鎖を行うと同時に、反対派が強行突破しようと警備係と激突し、今にも壇上に詰め寄ろうとする大混乱となった。怪我人も出る中、代議員の有効投票数109のうち、賛成74、反対31、保留3、白紙1という採決の結果が出た。
 反対派は「強行採決」に猛烈な抗議の声をあげ続け、午後4時過ぎにまたも休憩。午後5時30分、休会が宣言され、今後は未定という幕切れとなった。(以上、2日間の傍聴記)
 私は、またも物別れに終わって非常に残念というのが率直な気持ちである。高橋委員長の挨拶を聞き、「執行部内ですら未だに統一できずに乱れているのか」と、危惧と腹立たしさで初めから困惑せざるを得なかったのが事実だ。
 これでは、「国労はいったい何をやっているんだ」といわれそうだが、みなそれぞれ必死なわけです。このままでは永遠に平行線をたどり、溝が埋まるとはとうてい考えられない。労働組合として、個々人の異なった意見を尊重するのは当然だが、もはや統一と団結にも限度があると思わざるを得ない。
 最後の決断として、一票投票には○(賛成)を投じた私だが、四党合意はあまりにも非情で無理が伴うものであり、反対派の主張の方が筋が通っていると思っている。
 闘争団は国鉄の分割民営化という国策によって生まれた犠牲者である。政治が解決に動くのは当然のことだが、政府にも闘争団や家族の筆舌に尽くせぬ切実な訴えが何度も届いているはずだ。私には政府が弱いものを愚弄しているとしか思えない。「JRに責任なし」を認めることが前提条件などという、黒を白にするような姑息なやり方ではなく、もっとフェアにすべきではないのか。先にそれぞれの条件を提示して、交渉により妥協点を見いだしていく。そして、最後に「JRに責任あり」を取り下げるという当たり前のやり方で行うべきである。
 誰もが心から早期解決を願っている。妙案があったら教えてほしい。

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