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サイテイ車掌のJR日記・斉藤典雄/ 一票投票 さいたま新都心 55%

■月刊「記録」2000年11月号掲載記事

○月×日
 大会を二度も開催しながら何も出来なかったことは、国労の歴史に大きな汚点を残したといえるかもしれない。
 続開大会では、執行部案である「四党合意」(JRに法的責任なし等)の採決は行わず、全組員による一票投票で賛否を問うと決定されたが、今度はこの一票投票が物議を醸しており、ますます混迷の度を深めた状態となっている。
 一票投票については、私は先に「現局面の混迷を回避すべく、組織の統一と団結を大切にする道を選んだといえるだろう」などと書き、ノーテンキで頭が空っぽであることがバレてしまったが、反対派は実に鋭い意見を述べている。
 まず、「四党合意」の撤回要求はもちろんのこと、一票投票は闘う組合員を上から弾圧し、組合員一人ひとりに執行部支持か反対かの踏み絵を踏ませるもので、国労組織団結に、より一層の混迷と亀裂を生むものだとしている。また、政府・運輸省がいう「闘争団の多くが闘い続けるようであれば、四党合意は意味がない」ということからも、「四党合意」は何ら実効性がないことがハッキリし、すでに破綻している。一票投票は闘争団切り捨ての賛否を問うに等しく、ただ単に大会を強引に乗り切るための方策にすぎない等の理由から、撤回、中止を求めているのだ。さらになんと、東京地裁に「一票投票禁止を求める仮処分命令の申立」まで起こしたということである。
 非常に困った事態であるとしかいいようがない。意見の隔たりがあまりにも大きすぎて、この溝が埋まるとは到底思えない。分割・民営化前の修善寺大会で大分裂をして以来、苦闘を共にしてきた仲間同志がこうして対立し、いがみ合うことだけは避けたかったのだが、もはや国労は未だかつてない最大の危機に直面したといっても過言ではないだろう。
 だがしかし、今日まで国労組合員でい続け、闘う国労の旗を守り抜いて来たこと、とりわけ闘争団が人生を賭けた国鉄闘争を無意味なものとして終わらせないためにも、現実を直視し、責任ある判断と重大な決意をもって、現局面をなんとしてでも乗り越えていかなければならないのだ。
 私もこれまでに実にさまざまな文書に目を通し、それぞれの主張を十分理解してきたつもりでいるが、いつまでも「四党合意」は△(保留)などという曖昧な気持ちで揺れ動いているわけにはいかない。そんな場合ではなくなった。○(賛成)か×(反対)か、いかなる態度をとるべきか。ここは決然と悔いの残らない二者択一を決するときなのである。
 13年余も闘ってきた、いわゆる到達点としての「四党合意」は、あまりにも屈辱的すきる。本当に歯を食いしばってがんばってきただけに(筆舌に尽くしがたいとはまさにこのことをいう)納得しかねるのが当たり前であり、反対である。
 また、和解交渉(話し合いのテーブル)に入る前に「JRに法的責任なし」を認めてしまうことは全面屈服(敗北)以外の何ものでもなく、危険と不安が大きすぎる。その結果、解決水準が極めて低いものにされることは明白である。
 それと同時に、闘争の切り捨てだといわれているが(本部はそうではないといっているし、そのようなことはするはずがないと確信しているが……)、解決(最終局面)=闘争の終結(幕引き)=勝利、敗北のいずれにしろ、言葉は悪いが「切り捨て」の論理につながると考えるのは常識的である。――等々、まったくもって反対意見に同調してしまうのだが、私は悩みに悩み抜いて、冷静に考えた結果、苦渋の選択だったとする執行部を支持せざるを得ない結果に達した次第である。

○月×日
 何度も同じことの繰り返しとなってしまうが、1047名不採用問題は、「政治による早期解決」という国労全体の一致した考え方があった。
 当初、政府・JRは、「解決済み」だとして、頑なに相手にしないという態度をとり続けてきたが、13年余りにわたる闘いにより、「政治の責任で解決しなければならない」問題としてまで押し上げた結果が、執行部がいういわゆる到達点、「四党合意」という最終条件なのである。
 政治を動かしたこと、現在の力関係からして、ゼロだったものを何とかここまで押し上げたという現実を直視することが最も重要なことのように思う。せっかく掴んだこのチャンスを無駄にすべきではない。最大限に生かすべきだと、私は思うに至った。これが長かった国鉄闘争の、国労運動としての到達点だという認識である。
 確かに、当該である闘争団と多くの組合員には不安が大きすぎて、承服できずにいる。ならば仮に、この到達点を蹴ったとしよう。「四党合意」を拒否すれば、政府はただ「ああ、そうですか」と何もなかったかのように全面的に手を引くだけである。それは、政治折衝の窓口がなくなり、政治的パイプを失うということを意味するのだ。失うものが大きすぎやしないか。今後の新たな闘いの展望を考えてみても、今まで以上の取り組みが出来るのだろうか。
 毎年の退職者が国労内だけで1500名という現状で組織が先細りしていく中、体力、つまり組織的力量がどれくらいのものなのか。このことは、闘争団を支えていく上でも非常に重要なポイントでもある。
 今さらいうまでもないことだが、階級闘争はすべて力関係で決まるといってよい。常識が非常識になることもあれば、悪法であろうがなんであろうが、数の力でまかり通ってしまうのである。正しいことが必ずしも勝つとは限らないことは、私達が身をもって、イヤというほど味わってきたことだ。闘いの結果が皆が喜べない場合もあり得るという覚悟も必要だろう。
 さらに問題なのは、「闘い続ける」ということがあまりにも抽象的すぎるきらいがある。それは反対派の中から、執行部案に対する具体的な対案が提起されていないということだ。10年、20年先の保障が不透明すぎるのである。雲散霧消になったら、闘争団は救われない。
 こうしたことからも、この闘いがいかに困難であるかは証明できると思う。今一度、これまでの13年余りの重さを振り返れば、この時期がやはりラストチャンスとみるべきではないだろうか。
「四党合意」受諾を決断するにあたっては、執行部はそれこそ誰よりも最も悩んだはずである。現在の力関係、政治情勢、裁判の動向、将来展望等、ありとあらゆる分析を行い判断されたことであり、重大な決意であると受け止めたい。
 国労の最高機関である大会で承認・決定された一票投票を厳粛に受け止め、到達点としての「四党合意」に自信と確信を深めることにより困難を打ち破り、事実上の解決交渉に向けて決意を固めたい。
 私は最後の最後まで闘争団を支援していく気持ちに変わりはない。あと少しだぞ、ガンバレ闘争団!! 「四党合意」が謳っている「人道的観点」という文句がどれくらいのものなのか、十分見極めてやろうではないか。
 国労の組織の統一と団結が今ほど求められている時はない。なんとしても一票投票を成功させなければならない。

○月×日
「アイ・フィール・ファイン」。乗務中までジョン・レノン。とってもハッピーな気分で、ジョンの名曲を思わず口ずさんだりしている。
 今年4月に開業した「さいたま新都心駅」(京浜東北、宇都宮、高崎線)に、世界初の公式ミュージアム「ジョン・レノン・ミュージアム」がオープンする。それもジョンの60歳の誕生日である10月9日にだ。20世紀の偉大なアーティストであるジョンが残した詩や曲、遺品や映像等を紹介するというものだ。
 その宣伝として、ジョンの優しい顔写真入りのポスターが各車両に掲げてあるものだから、ジョンフリークの私としてはたまらなく嬉しい。
 また、テレビでは某社缶コーヒーのCMで、ジョンとヨーコのキスシーンが放映され話題となっている。没後20年を迎えたジョンがいま再びよみがえり、ミレニアムを席巻する。列島はジョン一色に塗りつぶされた、こんな表現も私にはちっとも大げさではない。
 さいたま新都心駅櫻井実駅長がジョンを知っているのかどうかは疑問だが、「ぜひ遊びに来てください」とおすすめしている。知らなくても許すよ。
 さあ歌おう。「ワン・アフター・909」
「9時9分発の次の列車で彼女は行くと行っている。おれも乗せてくれ……」。うーむイカスよなぁ。

○月×日
 55%が「四党合意」に賛成。
 一票投票の結果は、投票資格者数約2万3600人のうち、賛成が約1万3000人(55%)、反対が約8500人(36%)、保留などが約2000人(9%)であった。
 闘争団員の多い北海道と九州でも、57%、64%と、全国に比べいずれも賛成率が高かったことが、反対が多いと思っていた私には意外だった。
 しかし、賛成が圧倒的に多いというわけではない。本部は「全組合員の意志を示すものとして、重要な意義を持つ」と評価しているということだが、賛成1万3000人に対して、保留などの批判票を合わせた反対票(といっていいのかどうかだが)が1万を超えたことから、意見は二分されており、拮抗していると見るべきであろう。
 反対派は「賛成派は四党合意で早期解決か、拒否して泥沼の長期闘争かと、論点をねじ曲げ、長期闘争を避けたい気分につけ込み、組合員への締め付けで票をかすめ取った」などといっているが、私は断じてそうではないといいたい。誰だって苦渋の選択だったのである。これ以上亀裂が深まるような発言は慎んでほしい。
 いずれにしても、投票の位置づけであった「国労組織の統一と団結を図る……」が、達成されたとはいいがたい。来る10月28・29日の定期大会に向け、出来る限りの意志統一を図ることが急務である。

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