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妻の恋【必要のない恋の時間を過ごしたからこそ 必要と不要なモノのちがいがよくわかる/柳田真理(26歳)・ショップ経営】

「ねえ、やっぱエッチしちゃまずいかな? どう思う」
 真理さんからの数ヶ月ぶりの電話は、不倫をするべきか否かの相談だった。「元カレと久しぶりに会ったらやっぱりカッコよくて、なんとなくキスしたの。来週会う約束しているんだけど、会ったら絶対しちゃいそうなんだよね」
 声が弾んでいた。どうやら、また恋に落ちたらしい。
「ほら、不倫妻の取材をしてるって聞いてたから。実際バレたりするのかなぁと思って」

■「マジに恋愛かも」と電話報告が……

 真理さんとは、5年ほど前に知り合った。
 妙にウマが合い、出会って以来一ヶ月に一回ほど電話で話し、1年に一回は食事に行く関係を続けてきた。学生時代の「武勇伝」を聞いているだけに、浮気には驚かなかった。しかし、結婚1年目とは予想よりちょっと早い。
――やめたほうがいいんじゃない。真理ちゃんはわきが甘いから旦那に見つかるよ、きっと。あなたみたいなワガママ娘といっしょに暮らしてくれる男を見つけるだけでも、けっこう大変なんだからさ。旦那を失うと被害甚大でしょ……。
「不倫することになったら即取材するから連絡をくれ」
 と彼女に声をかけていたが、不倫するかどうか迷っている既婚者の背中を押すわけにもいかない。浮気が夫にバレて大騒動になった家庭の話をしてそのリスクを説明した。
「やっぱり、ヤバいよね」
 最後にそう言って、彼女は電話を切った。
 しかしその半年後、今度は相談ではなく事後報告の電話を受けた。
「数日前に新しい彼氏ができちゃった。マジに恋愛かも」
――エッチした?
「うん、した」
――じゃあ、取材だな。
 そうやって、この取材は始まった。
■都内一等地の高層マンション

 その電話から一ヶ月後、彼女の住むマンションを僕は見上げていた。
 都内の一等地に建つその巨大高層マンションは、入り口で住民に連絡してドアを開けてもらうのはもちろん、ホテルのロビーと見間違うほど大きな受付スペースが訪問者を出迎える仕組みとなっている。会社を経営している35歳の夫が真理さんのために用意した住まいである。
 ピカピカに磨き上げられた大理石の床も、スーツを着た受付の男性のにこやかな笑みも、昼下がりの居宅も、カネに縁のないしがないライターには緊張の種になってしまう。なんとなく落ち着かないまま高層階でエレベーターを降り、彼女の部屋のベルを押した。「いらっしゃーい」
 という声とともに、扉が開く。
 スリムのブルージーンズに黄色いTシャツを着た姿はとても人の妻には見えない。学生でも通用しそうだ。
 20畳以上あろうかと思われるリビングには、結婚式の写真がいくつも飾られていた。純白のウエディングドレスを着た真理さんは、見るからに幸せな笑顔を振りまいている。
 鼻も高くはっきりとした顔立ちの彼女には、ドレス姿がよく似合う。

■飲み会で一番しゃべってた彼氏

――やせた?
「なんか最近やせちゃって、四五キロになっちゃったよ」
――身長いくつだっけ?
「一六六センチ」
――そんなに大きかったっけ? じゃあ、今かなりスタイルいいんじゃない?
「いいよぉー。胸もあるし。Dカップだもん。ちょっとすごくない?」
――すごいかも(笑)。それで新しい彼とは、どこで知り合ったの?
「私の友達が、地元の自営業者とすごく仲がよくてね。その飲み会に誘われたの。2002年の11月ぐらいかな。みんな紳士だし、話が面白いの。私が結婚していることも話してたから、本当にただ飲んでいるだけだよ。ちょー紳士! いい人たちだなぁーと思ってたんだ。
 それから何回かその飲み会に顔を出したの。そのとき一番よくしゃべっていたのが今の彼氏。でも、しばらくはケータイ(番号)も交換しなかったのね。向こうも聞いてこなかったし。ただただ楽しく飲んで終わりだった。
 ところが4月はじめの飲み会で、『今度のいつ』なんて話しているうちに、ケータイ番号とメルアド交換したんだ。なんか、あんまり皆に見られないようしてさ。そこから始まったんだよね」
■彼氏は私にメチャ惚れみたい

 彼氏とエッチする関係になりたいとは全然思わなかったけれど……。
 本当にそこまでは考えてなかった。ただアドレスを交換してから、毎日のように携帯メールをやり取りするようになったの。だいたい一日に10通ぐらいかな。
 私って生活のすべてを報告しちゃう人なのよ。たとえば、
「これからネイルアートの仕事に行きます」とか、
「買い物に出かけたよ」
 とかさ。ちょっと前までは、透ちゃん(夫)に全部メールしてたんだけどね。メールするっていっても、真理のほうから一方的にただ送っているだけ。 でも、最近あまり透ちゃんにメールしないで、彼氏ばかりに送ってた。
 彼氏がたまに送ってくれのも別にたいした内容じゃないよ。でも、メールするのは楽しいでしょ。だから、なんとなく盛り上がっちゃったのかな?
 でもね、最初に会ったときから、
「彼って私の好きなタイプかもしれない」
 と思ってたよ。フィーリングがね、話しやすいしさ。私は、
「自分にすごく惚れてくれる人」が好きなのね。彼氏は真理にメチャ惚れだから。完全にはまっていると思うもん。
■自宅前で堂々とキス

 彼氏とキスしたのは、メルアドを交換して二週間後ぐらいかな。その日、友達と飲む約束をしてたの。そのことを彼に伝えたら、飲み終わったら、店から自宅まで送ってあげるよって言われて。
「ん? いや、彼が真理に会いたかったらしい」
 マンションの入り口の前に車を止めて、
「お休み、チュ」
 そんな感じでキスした。もちろん、きちんと抱き締められたよ。
 管理人室からも受付からも見ようと思えば見える位置だったね。逆に堂々としているほうがバレなくない? エッチしてない男友達に、マンション前まで送ってもらうこともよくあるしさ。キスして、私けっこうルンルンだったな。
 私も彼氏も、キスするなんてあり得ないと思ってたの。だから、ちょっと不思議な感じだった。彼もメールとか電話で、
「こんなことできるだけで、俺すげぇ!」
 とか言ってたから。自慢する「すげぇ」じゃなくて、うれしいとか信じられないとかいう意味での「すげぇ」ね。
■男は止まらないし止めるのも・・・・

 次の日は、また別の友達と飲む予定があったんだ。そうしたら彼氏が、
「また夜、迎えに行ってあげるよ」
 っていうことになって。それじゃあ、来てもらうかって。
 ついでに二人で居酒屋に寄って、そのままラブホテルみたいな。
 くどかれたっていうか、向こうが、「真理のこと好き、好き、好き」
 って感じなのかな。私としては、してもしなくてもよかったの。
 居酒屋からラブホに向かう間も、
「別に、あなたのことがお気に入りってわけじゃないんだよね」
 なんて話をしてたもん。向こうも、「なんかそういう話を聞くと、ホテルとか行けなくなっちゃうね」
 なんて言ってたんだ。だけど、なぜかハンドルはホテルへ(笑)。ラブホに行っちゃったら、男は絶対に止まらないのは普通わかるじゃん。止めるなら、もっと前なんだろうけれど。
 だからといって、単純に止めちゃうのもね。まぁ、絶対に嫌ってほどでもなかったし。私ひまだったのかなぁ。 自宅に帰り着いたのは、午前三時。透ちゃんは完全に寝ている時間だった。
■独身時代とは相手の選び方がちがう
 彼氏の身長? 低いよ。166センチぐらいじゃないかな。がっしりした体型で、髪は短め。顔も別にカッコよくはない。ふつう。
 年齢は38歳かな。3人の子持ちだよ。お店をやっているの。豆腐屋さん。
 いまから考えると、38歳ってけっこう年上だよね。でも私が思うに、
「結婚してからの恋愛は、既婚者同士がいちばんラク」
 だって変なヤキモチとかもないし、駆け引きもないしさぁ。もうストレートにトントン行っちゃう。
「好きなら好き、やるならやる」って。 いっしょにいてラクなの。何でも話せるし。
 たとえば独身時代に彼氏や結婚相手を選ぶときは、顔を重視する部分って結構あるじゃん。さすがにキモい人とは付き合えないけれど、いまなら容姿より、いっしょにいて楽しいかが重要かな。
 それから浮気相手にカネも求めない。彼とは、いつも居酒屋で飲んでいるから。シチュエーションがどうとかじゃなくて、話せるのがうれしいんだよね。 うーん、なんで浮気したのかなー? なんだろう私の性格? 最初は、キスする相手とも思っていなかったんだけど、うーん、ノリ?

※続きは「妻の恋」(アストラ)をお読み下さい

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