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日中友好の象徴はどうなってる!?

■月刊『記録』05年5月号

■文/本誌編集部

 中国・韓国で反日デモが吹き荒れている。テレビニュースの映像を見る限り、みんな本気で怒っているようだ。戦後、少しずつ積み上げてきた両国との友好関係が吹っ飛びそうな勢いではないか。
 大変だ! 本誌編集部としても状況を把握しなければならない。とはいえ海外に行くカネなどない。で、とりあえず日中友好の象徴を取材してきました!

 中国との友好の象徴といえばパンダである。
 思い起こせば1973年、警備員から「立ち止まらないでくださーい」と怒鳴られ、人波にもまれながら上野動物で初めてパンダを見たのであった。よく見りゃ熊だが、当時、幼稚園生だった私は白黒ツートンとタレ目模様に熱狂した。しかし日中国交正常化を記念して譲渡されたカンカン・ランランを見てから32年をへて、日中の危機を探るために上野動物園のパンダを再訪するとは、なんという歴史の皮肉であろう。
 はやる心を抑えてオスの小屋に近づくと、リンリンは背中を向けてうなだれていた。丸めた白黒の背中は微動だにせず、何分たっても振り向く気配すらない。リンリンはただただ壁を見続けていた。日中友好の象徴はやはり元気がなかったのである。日中関係が相当にこたえているのだろうか。
 それならばとメキシコのチャプルテペック動物園から繁殖のためにレンタルされているシュアンシュアンの小屋に歩を進めてみると、背こそ向けているものの元気に動いていた。在日メキシカン・シュアンシュアンに反日デモは関係ないようだ。
 ただ調べてみると、リンリンがうなだれている原因は日中関係だけではないらしい。シュアンシュアンのレンタル期間が今年までのため、人工授精に失敗すると19歳と高齢のリンリンが独りで老後を過ごすことになってしまうのだという。
 全世界で飼育されているパンダは168頭。そのうち中国国籍(?)以外のパンダはわずかに5頭。リンリンは日本国籍を持つパンダだが、中国籍のパンダと交配して生まれた子どもはすべて中国籍なってしまう。そのため中国籍以外のパンダとの子どもができなければ、日本国籍のパンダはいなくなってしまうのだ。
  「(リンリンの相手が)今年以降もレンタルされるのかはわかりません。お金を出せば貸してくれるとは思いますが、現在は予算もありませんので」とパンダの飼育係員は沈痛な声で応えてくれた。
 ではランラン・カンカンのように中国から譲渡されることはないのだろうか?
  「最近は中国もパンダの譲渡をしなくなっています。パンダを保護するために貸し出すことはあるようですけれど……」
 リンリンが高齢で必ずしも繁殖に適さないことを考えれば、今後レンタルのお相手がくるかは微妙だ。それどころか高齢のリンリンがいきなり亡くなる可能性すらある。そうなったらどうにかレンタル料を都合できても、中国はパンダをレンタルしてくれるのだろうか? かつて「パンダ外交」という言葉があったように、パンダと政治は浅からぬ関係がある。飼育係の方も「譲渡のときは日中関係の悪化にはヒヤヒヤしました」と語るほどなのだ。
 うーん、思っていた以上に深刻である。日中関係が冷え込むなか、日中友好の象徴が上野で滅亡の危機にされていたのだ。
 ところでみなさん、パンダのいない上野なんて耐えられます?(■了)

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