« 税金ドロボウ列伝・その4/法務省東京入国管理局 | トップページ | 税金ドロボウ列伝・その6/文部省大学入試センター »

税金ドロボウ列伝・その5/労働省中央労働委員会

■月刊『記録』97年4月号掲載記事

【泥棒5】労働省中央労働委員会/不当労働行為のやり得でいいのか

(■樫村潔(国鉄労働組合書記長)かしむら・きよし……1960年臨時職員として国鉄に入りし、その後12年間車掌などを務める。その間に労働運動の道へ入り、36歳で分会の副委員長から一挙に盛岡地方本部の書記長に。87年10月、国労東日本本部委員長。91年10月国労書記長に就任)

 1987年2月16日、JRへの採用・不採用通知が出てから10年もの月日が経過した。しかし、中央労働委員会から不当労働行為だと認められ、救済命令が出された国鉄労働組合員のほとんどは、職場復帰していない。結果として中労委は、不当労働行為が「やり得」になるような環境をつくりあげている。
 国労としては、地方労働委員会に訴え、さらに中央労働委員会の決定を待ち、その上裁判所の緊急命令を待つ他には法的な手段はない。地労委で2年、中労委で5~7年、地裁・高裁・最高裁で10年となれば、救済命令が施行されるまで20年もの月日が流れてしまう。考えてみてほしい。高校を卒業して定年するまで、わずかに人が働ける時間は37年しかない。そのうち半分以上の時間、人間らしく働くことができないのである。
 中労委の命令に拘束力がないのは、労使関係は罰則で押さえつけるものではないという崇高な理念が根底に流れているからだという。私もその理念には賛成だ。しかし、労働委員会委と裁判所を合わせた5審制を悪用する資本家に対しては、あまりにも無力だ。現状のような状態が続けば、あらゆる資本家に、不当労働行為がやり得だという意識を植え付けかねない。
 地労委が救済命令を出すのに2年ほどかかるのは仕方がないだろう。むしろよくやってくれていると思う。問題は中労委だ。年間400件ほど訴えがあるとはいえ、なぜ5~7年もかかるのか。何か思惑があるとしか思えない。
 同じような疑惑を労働省にも感じる。他の問題ではあれだけ素早く行政指導を行う中央官庁が、一向に行動を起こさない。労働省に、救済命令の履行を指導するようにお願いに行っても、「できない」と言われる。「なぜですか」と尋ねても答えない。
 その謎解きに使える道具がある。『アエラ』(97年1月6日)に掲載された中曽根康弘元首相の言葉だ。「総評を崩壊させようと思ったからね。国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に(国鉄分割・民営化を)意識してやったわけです」。国鉄解体を押し進めた張本人が、国労崩壊を目指していたという。私見だが、立法府が決めたことに官庁は手を出させないと思っているのではなかろうか。そう考えれば、労働省が動かないのも頷ける。

|

« 税金ドロボウ列伝・その4/法務省東京入国管理局 | トップページ | 税金ドロボウ列伝・その6/文部省大学入試センター »

月刊『記録』特集モノ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/389724/7114486

この記事へのトラックバック一覧です: 税金ドロボウ列伝・その5/労働省中央労働委員会:

« 税金ドロボウ列伝・その4/法務省東京入国管理局 | トップページ | 税金ドロボウ列伝・その6/文部省大学入試センター »