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元信者が視るオウム的社会論 第5回/人類はクローンをどこまで管理できるか

■月刊『記録』98年3月号掲載記事

「金剛乗の教えというものは、もともとグルというものを絶対的立場において、そのグルに帰依すると。そして自己を空っぽにする努力をすると。その空っぽになった器に、グルの経験、あるいはグルのエネルギー、これをなみなみと満ち溢れさせると。つまりグルのクローン化をすると。これがヴァジラヤーナだね」(八八年十月の麻原彰晃の説法より)。
 これはオウム草創期における麻原の説法の一説です。読んでいただければわかるように、麻原彰晃は当初から信者をクローン化、つまり自分に似せた、百パーセント従順な信仰ロボットを造ろうとしていました。
 たしかに、オウムがその教義の多くを由来してきたチベット密教には「クローン化」の教えがないことはありません。弟子はグル(師匠)が経験している宗教的境地を得るために、グルとともに生活し、グルの言動を真似、グルの指示なら、たとえ間違っていると思っても実行しなければならないと説かれています。そして、グルの血や精液を飲むという前近代的なことも実際にあるようです。オウムとチベット密教との関連については、改めて検討しなければならないでしょう。
 ところで、オウムでは信者をクローン化する方法の一つに「PSI(Perfect Servation Initiation)」、いわゆるヘッドギアがありました。脳波の測定器を改造したもので、専門家によると四~五万円程度の機器だそうですが、在家信者には百万円以上で売りつけていたので、教団の財政はかなり潤ったことでしょう。僕は出家者だったのでタダで支給されましたが・・・・・。
 機器の構造は、コンピューターに麻原の脳波をデジタル化して入力し、それをアナログの波に変換して電流で信者に流し込むというものでした。脳波、つまり脳の電気的活動を通して信者を麻原のクローンにするというものです。
 これを一週間つけ続ければ、麻原の煩悩のない(?)フラットな脳波と同じ状態になり、解脱することができるという触れ込みでしたが、残念ながら僕も含め、誰も解脱していません。電流が流れると目の前に火花が飛び、一時的に覚醒した状態になりましたが、最初の日だけでした。それどころか、電極をつけていた箇所が低温やけどのような状態になり、なかには禿を作ってしまった人もいました。稚拙な技術力のため、オウムのクローン化計画は頓挫しましたが、成功していたら大変なことになっていましたね。
 昨年から、本物のクローン人間ができるかもしれないということで、世界中で多くの論議を巻き起こしています。技術的に可能になったそうですから、いつかは誰かが造ってしまうことでしょう。問題はいったい誰がそれを管理するかになるでしょうね。今の麻原が、自分のクローンと思っていた元弟子たちの反抗により、裁判で苦境に陥っているように、僕たちもいずれ登場するであろうクローン人間に滅ぼされないよう、今のうちにしっかりと議論しなければなりませんね。(■つづく)

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