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元信者が語るオウム的社会論 第6回/2年ぶりに麻原公判を傍聴

■月刊『記録』98年4月号掲載記事

 ひさびさに麻原裁判を傍聴してきました。第二回公判以来、約二年ぶりです。漫画家の瀧坂女史にも傍聴してもらったので、イラストとともに法廷の様子をご報告いたしましょう。
 五〇席の傍聴席を求めて、二四〇人が抽選に並びました。初公判のときは、その百倍もの人達が日比谷公園に行列をつくったことを思うと、隔世の感が否めませんでしたね。
 法廷に入る前に、五段階もの入念なボディー・チェックがありました。まず、入口でバッグを開けて中身を調べられます。番号札と引き換えにバッグを係員に預け、空港にあるような金属探知機の下を通ると、棒の探知機でも全身をくまなくチェックされます。そして所持品を全部ポケットから出して検査され、最後に体全体を触られます。
 これでもかこれでもかとしつこい程ですが、係員の態度を見ているといい加減そのものでした。麻原公判も七〇回近くになり、手抜きの仕方を憶えたのでしょうか。瀧坂女史などは筆箱の中にカッターを入れていたにもかかわらず、何も言われなかったそうですから。
 ボディーチェックを終えて法廷前の廊下に出ると、最前列の傍聴席を確保しようと、すでに七人もの現役信者が並んでいました。全員見知った顔です。お互いすぐに気づきましたが、すぐに無視を決め込んできました。「猪瀬は裏切り者」ということでしょう。予想されたことですが、寂しかったですね。カルト・マインドというのは本当に偏狭なものです。
 入廷が許可されると、信者たちは我先にと法廷内に流れ込み、みるみるうちに最前列と二列目の席を独占してしまいました。まもなく刑務官に手錠を引かれて、麻原被告がぶつぶつ言いながら入廷してきました。一瞬彼を見て、その変貌ぶりに僕は唖然としてしまいました。以前は感じていた教祖としての威厳が全く感じられず、こう言っては失礼ですが、まさにホームレスのようになっていましたから(もちろんホームレスの方に失礼ということです)。
 この日は一年半もの間、逃亡生活を続けた『殺人マシーン』林泰男が証人として出廷する日です。グレーのスーツ姿で礼儀正しく入廷し、証人席に座って淡々と証言し始めました。
 麻原被告はつぶやき続けながら、♪これっくらいの おべんとばこに♪みたいなジェスチャーを恥ずかしげもなく繰り返しています。僕は裁判を傍聴しながら、何故このような人物を信じるようになったのか考えましたが、彼のホームレスのような超然としたところ、世間の善悪を超越したような雰囲気、それに惹かれたんだろうなあと思いましたね。そうしたら、裁判官も検事も弁護士も単なる俗物に見え、林の背中も小さく見えるようになったので恐ろしかったです。
 傍聴席の前列を独占している信者達のほとんどは居眠りをしていました。警備員もうつらうつらの状態です。一人だけ警備員のなかに、居眠りを叩き起こすのに生き甲斐を見出だしているような人がいて、傍聴人の襟首をつかんで締め上げているのでビックリしましたよ。
 ところで、裁判全体を見渡してみて、いろいろ無駄なことに気づきました。まず、警備員と刑務官のやたら多いこと。全部で三~四十人もいたんじゃないでしょうか。皆さん暇をもてあましていましたね。麻原被告の隣の刑務官はニヤニヤしながら、向かいの同僚とサインを出し合って遊んでましたし・・・・・。それに暖房が効きすぎです。あれでは眠くなります。そして、麻原被告の国選弁護人が十二人もいること。いったい、麻原裁判一回で税金がいくら使われているのでしょうか。
(■つづく)

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