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税金ドロボウ列伝・その3/建設省

■月刊『記録』97年4月号掲載記事

【泥棒3】建設省
■「建設省一家」に行革は無理

(■森田喜美男(東京都日野市長)もりた・きみお……1911年生まれ。東大農学部実科卒。朝鮮総督府、大東亜省所属在外農業指導員などを務め、47年、中国から引き揚げ帰国。66年から日野市議。73年4月に日野市長選で初当選。以後連続6期)

■いきなり70億円減収

 バブル崩壊以降、日野市の税収は年々減少する方向にありました。そのような状況にさらなる追い打ちをかけたのが、1995年から実施された住民税の特別減税です。この決定により、日野市は3年間で70億円ほどの減収となったのです。自治体の財政構造の良否を判断する指標である経常収支比率は、3年間に82%から93%へと悪化しました。
 中央政府の決定によっていきなり税収が70億円も減ったのにも関わらず、国からの援助は減収補てん債を認めるといったものでした。しかし地方債を発行すれば、当然金利がかかります。近い将来、金利は地方財政を確実に圧迫していきます。日野市は発展途上の町である一方で、市民の高齢化も少しずつ進んでいます。健全な地方財政を維持することは、現在はもちろんのこと、将来的にも非常に重要なことなのです。安易に地方債を発行するわけにはいきません。
 そこで、まず財政の無駄な支出を減らす努力をしました。例えば地方税の納期前納付の奨励金を全廃し、4000万円ほど捻出しました。また職員の退職者数を補充せず、100人ほど減らしました。仕事量が変わらないのにも関わらず職員を減らしたのですから、どれだけ大変だったかは理解していただけると思います。
 しかし、血のにじむような努力をしても、新しい70億円の減収を埋められるはずもありません。そこで、新たな財源を探さをざる得ない状況になったのです。その時に思いついたのが、中央自動車道への課税でした。
 そもそも日本道路公団の高速道路は、将来的には通行料が無料になるという前提のもとに、固定資産税が非課税になっているのです。ところが、95年11月に開かれた道路審議会で出された答申では、高速道路の永久有料化を打ち出しました。つまり非課税の前提が崩れているのです。また、実際問題として高速道路の無料化は実現する可能性はないでしょう。そのため日野市は、96年の2月から課税するための評価額の算定作業を進めていました。96年は課税を見送ったものの、97年度分の算定は終わりました。そこで課税通知書を日本道路公団に送付することを決定し、課税手続きを進めています。

■封建時代じゃない

 課税自主権の立場に基づいての課税ですし、法律上はまったく問題ありません。それどころか、憲法92条には「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と書いてあります。
 ところが中央道への課税を表明した昨年2月以降、何度か東京都による非公式な行政指導が行われました。しかも、ハンコを押した公式の文書での要請は、一度もありません。それだけではありません。日本道路公団の監督官庁でもある建設省の大臣である亀井静香氏が、私をアルツハイマーだとおっしゃった。彼の人権感覚については、その関係の人が一定の評価を下すことになるでしょうし、問題の本質ではありませんが、道路公団への課税に対してこのように反応したことには問題です。
 日本道路公団は「建設省一家」グループの大切な一員ですから擁護するのでしょうが、封建時代ならいざしらず、行政改革が叫ばれているこの時期に一家意識を持ち続けるのはいかがなものでしょうか。このような意識では、行政改革などおぼつかないでしょう。中央官庁は縄張りを守ることだけに力を注がず、血を流して行革を進めなくていけないはずです。
 もちろん日本道路公団も血を流すべきです。道路公団に恨みもありませんし、民営化を求めているわけでもありませんが、課税を認めないなら無料化に向けた体質改善をしていただきたい。各種の報道では、放漫経営が指摘され、建設省官僚のOBの天下り先として批判も高まっています。このような公団を非課税のままにしておくのは、明らかに不公平です。課税は公平かつ公正に行われなければ、国民の理解を得られません。中央政府には、公平な課税権を認めていただきたいと思っています。
 JRでは民営化に伴って、路線への課税が実施されてました。日野市には京王線も通っていますが、この路線にも当然のことながら税金が課されています。私からみれば、無料化のめどもたたない中央道に課税するのは、しごく当然のように感じました。これほど大きな問題になるとは思っていなかったのです。
 残念ながら、日本では地方の自治権は認められていません。権限委譲が行われたにしても、財源は独自に探さなくていけません。中央政府から認められるのは地方債という借金だけです。財源がないために、地方も中央政府の顔色をうかがい、交付金のお願いをすることになります。これでは地方自治が確立するわけはありません。
 本来、地方と中央の関係は、対等・平等でなければならないと思います。互いに切磋琢磨しながら、良い関係を築いていくべきです。そのような関係を作るためにも、発言すべきことは申し上げようと思っております。地方が発言しなければ、中央に地方の声は届きませんから。

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