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行動派宣言! /富士見産婦人科病院被害者同盟

■月刊『記録』94年7月号掲載記事

■あれから14年-民事裁判は続く/富士見産婦人科病院被害者同盟

①運動の目標

 事件発覚と同時に被害者の把握と救済、事実を明らかにすることを目的に開始。国や県、医師会、学会などに働きかけ、二度とこのような事件が起こらないよう関係者の責任を問い続けてきた。
 刑事裁判は無資格者による医療の管理責任を問うことに終わり、障害罪告訴は不起訴になったので、病院の組織ぐるみの犯罪、医師の障害行為は民事裁判で問いたいと、14年経ったいまも、東京地裁で闘っている。

②発足の経緯

「おなかの中がわかるいい機械がある」といって超音波診断装置を宣伝に使い、無資格者が診断、手術を勧め、医師たちは不必要な手術(子宮・卵巣摘出)をしていた。この事実を、一患者として入院した人はほとんどみな、見ぬけなかった。
 不信を抱いた患者たちが集まって初めて被害が確認できた時、医療への信頼は裏切られ、崩れた。この時の怒りが出発点であり、「許せない、忘れない、繰り返すまい」が合い言葉である。

③運動の歴史

 同盟結成直後から「アンケートによる実態調査」を行い、カルテ類の証拠保全をして、被害の事実確認。三次にわたって刑事告訴。同様に三次にわたる民事提訴。6か月の閉鎖命令を受けた病院の再開に反対、市民大集会を開き、署名活動、陳情もする。4年後に病院は競売に付され廃業になる。現在は院長が別の所で小さなクリニックを開いている。
 運動は全国の薬害・医療被害者と結び、厚生省や県衛生部へ改善を求める行動に広がり、厚生省交渉の場では患者側からの発言を続けてきた。また、「女のからだと医療を考える会」の発足にも参加。子宮筋腫手術や出産・更年期などに関わる医療を、女の立場で問い直す試みが始まった。
 会員連絡紙は、6年目から「所沢発・なんじゃかんじゃ通信」と題号を変え、現在に至る。「かんじゃ」側から日本の医療が抱える問題を考え合いたいと、医療をめぐる疑問・発言・情報、体の相談コーナーも設けている。ぜひ、お便りをお寄せ下さい。

④今後の抱負

 なんといっても、原告67人が医師6人と理事長、病院、県、国を相手に闘っている裁判に勝つこと。そして、富士見病院の医療は、金もうけのための手術だったことをはっきりさせ、事件が患者主体の医療を確立することに少しでも生かされたらと願う。

⑤思い出深い出来事

 事件報道が盛んだった当初、カメラに追いかけられると、自分が悪いことをしたかのように、顔を隠したり返答を避けたりしないではいられなかった。だが、被害をみつめるなかで、自分は患者としての当然の権利を侵害されたのだという自覚が育った。
 私たちは被害者から自立した患者へと変わった。同時に周囲の女性たちも、自分のからだについて大きな声で話すようになっていった。いまや、インフォームド・コンセントは当たり前というところまで患者の意識は高まってきた。この変化は運動を続けてきたなかで、本当に大きいものとして実感できる。

⑥工夫している点やユニークな方法論

 富士見病院へ行ったという一点だけで知り合った被害者たちは、年齢も環境も考え方もバラバラ。同盟は200人ほどだが、被害を保健所に訴え出た人は1000人を超えた。民事裁判原告を核にして、市民、弁護士、わずかな医者が周囲を支えてきた。
 運動論も何もなく、偶然の出会いから、やむにやまれず関わり合い、その時々の道を探ってきた。不思議なことに、困った時に、頼りになる新たな支援者が現れたり、情勢が転換したりした。
 出会い。寄り合い。去る人。来る人。そんな人の潮に自然に乗ってきたのかもしれない。これからも、怒りを共有してくれる仲間が増え、広く医療への感心を育て合うことができたら、うれしい。そんな機会を待ちたい。

⑦運動の問題点

 裁判が長期化すると息が切れてくる。障害罪告訴が不起訴になったのは医者の裁量権という壁に突き当たったからだが、医療裁判では公平な判断をどこに求めるべきか。やはり良心的な医者の多数の参加がほしい。

⑧運動を継続するためのポイント

 あまり気ばらずに、その時々で一番大事なことを見極め、集中することが大切。納得のいくまで同じ件をむし返したり、ペースの遅い人に合わせる辛抱強さも必要。「木を見て森を見ず」という落とし穴に注意を払い、大きな目的を確認し合っていきたい。

■■■ことばメモ
【富士見産婦人科事件】
 80年9月、埼玉県所沢市にあった富士見産婦人科病院の北野早苗理事長が、無資格で超音波断層診断装置を操作して診断行為をしたとして、医師法違反の疑いで逮捕されたのをきっかけに、手術の必要のない正常な子宮や卵巣を摘出されたという元患者からの訴えが相次ぎ、大きな社会問題になった。
 被害者同盟は、理事長と北野千賀子院長らを傷害罪で告訴、県警は11月、院長ら5人の医師らを医師法違反ほう助と保健婦助産婦看護婦法違反の疑いで書類送検、理事長と院長が起訴されたが、傷害罪は「手術は医師の裁量の範囲内で、治療目的でなかったとするには証拠不十分」として83年不起訴に。
 88年、浦和地裁川越支部は両被告に有罪判決を言い渡した。89年、東京高裁は控訴を棄却、次いで90年、最高裁が上告を棄却したため、早苗被告の懲役1年6月・執行猶予4年、千賀子被告の懲役8月・執行猶予3年の刑が確定した。民事裁判は係争中。

■現在のウェブサイト・http://higaishadoumei.com/

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不正出血についての勉強をしています。産婦人科医を目指す女子大生の、奮闘の日々を綴ってます。今日はですね、ささやかな記念日なんです。何か素晴らしいことがあった日には手帳に記念日を設定して記入しています。たわいないことをしているなと一瞥されるかもしれないですけれども、なかなか面白いものですよ。どうも本日はあまり不正出血の学習がはかどりませんでした。何かいろいろとやるべきことをできてなくって、そちらのほうに時間を取られていました。家事も片付けないといけませんし、ある程度は仕方がない...... [続きを読む]

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