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大使館は世界への窓 第9回/バングラデシュ人民共和国

■(月刊『記録』95年5月号掲載記事)

■「日本との関係は良好」/サイード・ファヒム・ムネイム報道官に聞く

  日本に赴任する前の私は長崎・広島の原爆投下のことぐらいしか詳しく知らなかった。しかし、来日2年をへて、バングラデシュと似た国だと感じている。例えばわが国の国旗は緑の地に赤丸と日の丸とは色が違うだけで同じデザインだ。また、茶はベンガル語でチャー、「ハイ」はハと発音する。基本的には米と魚という食生活も同じだ。家族の結びつきも似ている。そのせいか、母国で放送中の「おしん」の評判がよく、共感を呼んでいる。相撲も放送されており、私は貴花田・若花田・曙が好きだ。
  治安の良さと人々の親切さには驚いた。花や野菜が無人販売されてもお金が払われる国は他にないだろう。赴任直後で乗り継ぎの悪い地下鉄で迷った時には、親切な女性が間違えたキップを買い直して差額を取り戻してくれた上に、正しいホームまで案内してくれた。日本ならではと思う。最近、サリン事件などによって治安が心配されているが、特別な事件であり、安全神話は崩れていないと思う。今まで大丈夫だったからこそ、衝撃も大きかったのだろう。事件の衝撃が、間違った形で世界に波及しないことを願う。
  東京駅から馬車に乗ったことも忘れられない。新任大使が赴任すると、東京駅のVIPルームから馬車で皇居まで案内されるため、大使と共に2回ほど皇居に入った。本当に美しいところだ。
  私の仕事は、自国を日本に紹介するとともに、互いの文化の違いを埋めることにある。自国から来たジャーナリストの世話も、日本の人達への文化紹介セミナーの開催もしている。マスメディアは大事件だけを扱いがちなので、わが国がいつも洪水に見舞われているような印象を与えるが、もちろん違う。報道と現実とのギャップは困った問題だが、存在は大きい。政府は変わっても、マスメディアの総入れ替えはないからね。
  日本との科学技術面での貿易推進も、これからの目標だ。両国関係には戦争にまつわる歴史上の問題などもなく極めて良好。日本の市場では高品質が求められるので参入は難しいが、魚介類や繊維製品・皮製品はわが国から入っている。日本企業群の工業地帯もあり、関係はますます密接になってくるだろう。
  なお、手で食事をするわが国の習慣はわが国の習慣には多少誤解があるようだ。食事には指も使うがナイフ・フォークも使う。もちろん、食事の前には手も洗う。合理的で衛生的な食事方法だ。
(■つづく)

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