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大使館は世界への窓・その1 アルジェリア民主人民共和国

(月刊『記録』95年1月号掲載記事)

大使館は異国事情を知る手段、異国へ開かれた窓として機能する。それぞれの国の大使や参事官にお国の事情を伺ったのが、このシリーズである。(編集部)

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■アルジェリア民主人民共和国・2億6千万人の人口大国/バキール・ラウド・ダウド参事官に聞く

■「国民は暴力的な政党を望まない」

   アフリカにありながらアラビア語とフランス語を公用語に持ち、国民の99%がイスラム教徒という国内状況は、日本の方には理解しにくいかもしれない。しかし、イスラム教の伝統は、中東であろうがアフリカであろうが変わりない。
   また、日本の仏教と同じように厳しい戒律を守る人もいれば、関心のない人もいる。特に若い世代は、厳しい戒律に関心がないようだ。海岸では多くの女性がビキニを着ている。もっとも、最近は現状よりも厳しい戒律を要求するイスラム原理主義の台頭によって、女性がベールをかぶるなどの傾向にある。
   だが、1991年末に原理主義者の政党が選挙で勝った理由は、国民がイスラム原理主義を望んだからではない。国民は総じて、厳しい戒律も暴力的な政党も望んでいない。むしろ、伝統的に国民が多党主義に慣れていないからだろう。
   わが国が数年前から乗り出した民主化の過程で、89年には1つだった政党が現在では60以上にもなってしまったために、政治運営は非常に難しい状況にある。加えて、62年から続いた社会主義経済を市場経済に移行したものの、市場経済はすぐには国民に利益をもたらさなかった。社会主義時代は、パンの半額は政府が出していたし、英語を学ぶこと、家を持つことも無料だった。
   このような混乱の中で、99%がイスラム教徒である国民は、イスラムのルールに乗っ取った政治運動を主張した原理主義者に投票してしまった。しかし現在国民は暴力的で戒律に厳しい原理主義者の政策や主張に距離を置くようになってきている。また、米国や日本・ヨーロッパからの投資が増えてくるなど、市場経済の導入効果もようやく現れてきた。

■少なくとも3カ国語は話せる人々

   アルジェリアは地形的にも恵まれており、パリ・ローマ・マドリードまで飛行機で1時間、ロンドンでさえ4時間で到着する。さらに、アフリカ周辺諸国の交通網はわが国中心に伸びており、アフリカの表玄関としての機能を果たすことができるだろう。電信電話も整備されており、教育水準も高い。アラビア語と仏語の公用語の他に、中学からはイタリア語・英語・独語・スペイン語から1つを選択して勉強するため、国民は少なくとも3カ国語は話せる。
   投資国としても勧められると思う。石油と天然ガスの輸出により、あと2、3年で重い借金経済から脱する可能性が高い。そうなると、92年の段階で2億6千万人という巨大な国民人口は、市場としても有望視されるだろう。日本も米国との貿易摩擦などで苦労しているようだから、アルジェリアという市場に目を向けてみてはどうか?
   わが国はアフリカで2番目に大きい国で、国土の約80%がサハラ砂漠であり、観光地としてもなかなか人気だ。信じられないかもしれないが、北部にはスキー場もある。ユネスコのリストに載っている歴史的建造物も多い。
   特に日本人の方に知ってもらいたいのは、良質の松茸が採れることだ。鮮度の関係であまり輸出はされていないが、アルジェリアの松茸はかなり安い。ワインと果物の産地としても有名である。とくにデイツという果物は、人差し指ほどの大きさでわが国だけで採れる特産品でとにかく甘い。ぜひ来て味わってもらいたい。
   私は、学校では日本の経済や科学技術について学習したが、日本に来て東京という街の大きさと、人口の多いにもかかわらずゴミのない美しい街並み、人が時間通り動くのには、本当に驚いた。
   私は、まだ3年しか日本にいないので、日本の文化をしっかり理解してはいない。大使館での業務が忙しいこともあって、アフターファイブに遊ぶというのも、なかなか難しい。日本についての深い感想は、もう少し暮らしてから出てくると思う。

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