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クソの役にも立たないコンビニエンスストア

■月刊『記録』97年4月号掲載記事

■ひたすら回った五一件

 コンビニエンスストアでトイレを借りるのは勇気がいる。特に女性は恥を忍んで頼んでいるものだ。ところが店によっては、その必死な申し入れを簡単に断ってくる。「我慢しろ」と言われても我慢できないのが便意。近くに公衆便所がないからお願いしているのに、いったいどうすればいいんだ。
 というわけで調べてきました。特に「貸してくれない」という恨みの声が満ちあふれる都心を対象に、暑さ和らぐ夜中にスクーターを走らせて五一件。ひたすらトイレを貸してくれるようにお願いした。元来弱気のため、トイレを借りたら商品を買わなければいけない強迫観念にさいなまれ、取材が終わったころにはスクーターの籠がガムやジュースで一杯という有様だったが、臭いトイレでしっかりとメモだけは取ってきた。
 コンビニエンスストアごとのトイレ貸し出し成績は表1の通りだが、注目すべきはローソンだろう。なんと一件も断らない。ローソンの広報部は、「今年の一月一日からステッカーなどを張り、お客様がトイレをご利用しやすいようにキャンペーンを張っております。現在、ほぼ全店でおトイレをお貸しできるようになっています。
 他のコンビニエンスストアでは、トイレは使えるのか使えないのかわからないうえに、使用を断られるケースもありますから、他者との差別化をはかるのが狙いです」と語っている。確かに便所の入り口には「トイレ美化宣言」と書かれたステッカーが目立つように張られている。これならばトイレも借りやすい。「お客様からも好評です」という広報部のコメントもうなずける。
 一方、ローソンのような差別化など必要ないと語ったのは、セブン-イレブン・ジャパン広報だった。
「当社の店舗は、以前から従業員の控え室や倉庫になっているバックルームを通らなくとも、売り場から直接トイレに行ける設計になっております。ですから他のチェーン店のようにトイレが借りられると明言しなくとも、従業員に一言お断りしていただければいつでもお貸しできます」
 しかし実際には35・7%も断られた。そのうえ「すみません。いま便所がないんです」と訳のわからない断られ方をされた店や、近くの公衆便所を教えられたものの便所がみつからなかったケースもありと、結果はそれほど誇れるものではない。
 この実状に関しては、日本一の企業と評判の高いセブン-イレブン・ジャパンも「どうしたんでしょうかね…。店舗によって色々な事情があるのかもしれませんね」と困惑顔。どんなに設計に気を付けても、トイレを貸さない店主もいるということだ。ただの広報の対応も含めて、今後の改善が期待できる雰囲気ではある。さすがは最大手。

■本部はトイレ使用を推奨

 あまり知られていないことだが、先述したセブン-イレブンやローソンのみならず、ほとんどの大手コンビニエンスストアはトイレの貸し出しを推奨している。
「古い店舗は商品倉庫や従業員室とつながっているために、お貸しできない場合も多かったのですが、新店舗は店内から直接お手洗いに行けるように工夫し、なるべくお客様のご要望にお応えするようにしています」(サンクス)
「基本的にはお貸ししています。店員に声をかけてください。ただ店舗設計の都合上、どうしてもお貸しできない場合もあるんですよ」(ファミリーマート)
「本部として、積極的にトイレをお貸しするように、オーナーさんにお話ししています。防犯上の問題がある場合は別ですが」(ミニストップ)
 今回調べたなかで唯一トイレの貸し出しに積極的になっていないエーエム・ピーエムでさえ、「都内などは店のつくりも小さく、構造上お貸しできない店舗もありますから店の自由に任せています」と語り、断るケースとして、店舗設計など解消できない問題を念頭に置いていることを明言した。
 つまりコンビニエンスストアのトイレは、基本的に借りられるのである。ところが三一・四%の店舗では断られている。本当に防犯上の問題なのだろうか。
 ミニストップ大島一丁目店は、便所に向かう通路の壁にビール缶の入った段ボール箱が積み上がっている。くすねようと思えば簡単のできる環境だ。さらに便所では、店の床を洗う大型のクリーナーとビール瓶のケースが陣取っていた。いたずらをする品物には事欠かないといった状況なのだ。商品の盗難が可能な物置と化したトイレ。店にとっては最悪の条件だろうが、この店舗は気持ちよくトイレを貸してくれた。
 九段三丁目にあるエーエム・ピーエムは、トイレの壁面には、商品と思われるビニールガサが三〇本以上に並んでいる。雨の日しか店頭に並べないため狭い店舗には置けないのだろう。かなり異様な光景であり、この店でカサだけは買いたくないと感じたが、この状況でもトイレを貸してくれる店自体には好感をもった。
 このように今回トイレを貸してくれた店舗のなかには、トイレ周辺に商品が積み上がっていたところもあった。店主の度量次第では、どこでもトイレは貸せるのである。

■小便以外はお断り

 新宿区原町三丁目にあるミニストップは、五一店舗のなかで最も度量が狭い店であった。「おトイレを貸してください」という申し出に、「便所だけ?それならウチは公衆便所じゃないから、断るんだけどね」と、こちらを一べつ。品物を買う旨を伝えるとトイレのドアを指した。やれやれと思ってトイレに入ろうとして、さらに驚かされた。「御利用する方は、従業員までお申し出下さい。但し、小用以外のご使用をお断りいたします」と書かれているではないか。しかも「小用」が赤字になっている。このトイレでは、絶対に大便はさせないぞという店主の強い意志が、手書きの文字からしっかりと伝わってくるようだ。もちろん便所内も徹底している。トイレットペーパーが置いていない。これでは大便はもちろん、女性の使用も断っているようなものである。
 そもそも店内に食べる場所が確保されているのが、ミニストップのウリとなっている。店内で食事ができて、トイレだけは使えないというのか。野暮な例えは承知でいわせてもらおう。カネ払って入れるのは歓迎、ただで出すのはお断りってことか。
 このような状況に対して本部の広報は、「いったいどうして、大便だけがダメなんでしょうかね。それが不思議です。たしか私が訪ねた一年半前には、『ご使用の際は従業員にお断りください』という張り紙だけがあって、お客さんの自由に使ってもらいましょうなんて、オーナーさんと話したのですがね。オーナーもいい人なんですよ。それなりの理由があるとは思いますが……」と店を弁護していた。では本社のいうことを聞かない「関東軍独走」なのか。どうして大便だけができないのか、改めて店長に取材してみた。
「昔は、すべての人に貸していたんですよ。ところが店が公衆便所のようになってしまったんです。朝、サラリーマンが便所だけを使い、何も買わずに出勤していく。しかもマナーが悪い。床に大便を転がしていくんですよ。アルバイトと私がいくら掃除をしても間に合いません。
 もちろん防犯上の問題もありました。暴走族が溜まり、便所でたばこを吸ったりするのです。そうなると若いアルバイトでは手に負えませんから、私が一日中詰めて対応していたものです。
 そんなこんなで、現在は大便での使用はお断りしています。特にウチのお店のトイレが頻繁に使われるような立地条件でもありませんので、お客さんの質の問題なんでしょうけれども寝ね」
 ところが、このミニストップから八〇〇メートルほど離れたローソンの見解は全く違う。
「ここらへんは子供さんのいない地域ですから、暴走族はいませんし、そんな怖いと思ったこともありません。また、あまりにも挙動不審な人には、トイレの貸し出しもお断りしています。本当に危なければすぐに一一〇番通報するよう、アルバイトの子にも指導していますしね。特にマナーの悪い人もみかけません」
 この証言のどちらも正しいとすれば、この地域の客はローソンで見せた紳士の仮面をミニストップで脱ぎ捨てて悪党になるということらしい。むろんそんなはずはない。第一、そんなに客が信じられないのだったら撤退すればよかろう。取材を通して断言できるのだが、ミニストップの問題は客の質ではなく店員の質にあるのだ。便所の張り紙や、店主のイヤミだけではない。カップラーメンだけを食べる客にはテーブルとイスを貸さないと宣言した張り紙さえある。
 「いらっしゃいませ。金だけ払ってさっさと出ていってください。この悪党ども」という底意地が透けて見えれば、おとなしい客だって「バカにするな」とマナーの一つも悪くなろう。
 だいたい、床に転がった大便を喜んで掃除するのが商売のイロハではないか。私事で恐縮だが、『記録』編集部には朝に夜に読者と称するさまざまな人からわけのわからない電話がかかってくる。酔った勢いで何をいっているかわからん人もいる。それでも編集部は読者である証拠もない相手に付き合う。別に威張っているつもりはない。世間に何らかの提案をした企業の大半は同様に、当然負うべき責務と考えていることである。ましてミニストップは「食べさせている」のである。「便所だけを使うサラリーマン」の裏には「食べて便意を催したが我慢して去っていった客」がいるという当たり前の想像力すら働かないのか。飲食店が当然提供するべきサービスを断るミニストップは反社会的存在といっても過言ではない。

■使用者の責任できれいに

 じつはこの店に限らず、高圧的な張り紙でトイレの使用を制限している店舗は少なくない。
 内神田にあるファミリーマートには、「当店では警察の指導により、トイレの御利用をお断りしております」と印刷されたプレートが、トイレの入り口に掲げられている。近所のコンビニエンスストアは警察からの指導もないらしく、トイレも貸してもらえたが、やはりこの店だけ治安が悪いのだろうか。
 神田淡路町のエーエム・ピーエムの張り紙も変わっている。トイレに通じる扉には「立入禁止 従業員専用の更衣室です」と書かれた紙が張られ、トイレには「無断使用の場合、身体検査をさせてもらうこともありますので、ご了承ください」と書かれている。実はトイレなんか貸したくないんだよという店主のぼやきが聞こえてきそうである。
「お客様のトイレ使用は禁止しています。やむを得ず使用する場合は、必ず従業員に申し出ください。また、汚した場合は、使用者の責任できれいにし、使用後は必ず消灯してください」
 これはミニストップ扇橋店のトイレに張られていたものだ。「使用者の責任できれいにし」とより大きな文字で書いてあるのが泣かせる。とにかく便所を汚されるのはイヤなのだ。
 トイレの使用を断る本当の理由は、やはりこんなところにあるのではなかろうか。使うほうが汚すからと言われればそれまでだが、やはり必死に便所を探す者の思いを、「トイレはない」の一言で断るのは接客業としては問題があるまいか。トイレも貸してくれないほど度量の狭い店など、お客様相手の店舗である資格はない。(本誌編集部)

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