« 畳職人を怒らせたアース製薬・ダニには効かない?ダニアース | トップページ | 元信徒が視るオウム的社会論 第2回 一服で心が変わる!? プロザック »

元信徒が視るオウム的社会論 第1回/エヴァやオウムが流行るワケ

■月刊『記録』97年11月号連載記事

(■猪瀬正人 いのせ・まさと……1969年栃木県生まれ。早稲田大学法学部に入学後、89年オウム真理教で出家した。95年6月、微罪逮捕を契機に脱会。現在、フリーライター。)

 僕は高校3年生のときに、オウム真理教の前身である「オウム神仙の会」に入会しました。そして、大学2年生のとき、オウムに出家しました。その間、3年ほどの期間があるのは、まだ十代で出家するだけの度胸がなかったからなのですが、それと同時に大学教育というものに未練があったからでした。1年間、予備校で浪人生活を送ったのも、もちろん大学に入りたかったからです。田舎に住んでいた僕は、大学生活の現状を知らず、憧れの思いだけを抱いていたのでした。

 尾崎士郎の『人生劇場』の世界に憧れ、早稲田大学に入ったのですが、入学直後から自分の勘違いに気づきました。既にレジャーランドと化していたキャンパスには何の精神性もなく、内的思索の機会もなく、特に早大は教授が二流で、しかも授業に出なくても単位が取れるという校風のためか、入学して1ヵ月もしないうちに、オウムの道場に入り浸りになるようになってしまいました。つまり、大学教育の薄っぺらさによって僕はオウムに引きずり込まれたようなものです(もちろんそれだけではありませんが)。

 ところで、今年に入ってアニメの「新世紀エヴァンゲリオン」の大ブームが起きました。他ならぬ僕も、元オウム信者に勧められて観るようになり、一時期ハマったのですが、世間でもこのアニメとオウムの共通性についてよく取り沙汰されましたね。曰く、この映画はオウム的カルトの世界を表現したものだと。あるいは心理学用語をちりばめてオウムと同じ手法で洗脳していると。
 実際、この映画の題名からして、オウムがロシアのラジオ局を通して放映していた「エヴァンゲリオン・テス・ヴァシレイアス(御国の福音)」とダブっていますし、映画館に行くと、オウム世代ともいうべき20代~30代の男性がほとんどです。そして、オウム幹部の石井久子被告とよく似た「綾波レイ」という登場人物に信者までできて、一体何十万円もする彼女の等身大のフィギアやグッズが爆発的に売れるという現象まで起きました。そして、このアニメをより理解するための解釈本が何十冊も出て、たくさんの読者が、オウムと共通した精神世界を必死に勉強しているのです。
 特に男子大学生などは集団で映画を何回も観に来たりしていて、もう信仰宗教の信者と同じです。彼らを見ていると、オウムに出家する前の大学生だった自分を見ているようで、「また同じことを繰り返しているなあ」と思わざるを得ません。
 いったい大学教育はどうしちゃったのでしょう? 「エヴァンゲリオン」ならまだしも、もしもっと強烈な第二オウム、第3オウムが登場したら、たくさんの大学生がオルグされて、また大きな社会問題に発展しますよ。
 オウムでの失敗の教訓を、大学側にも生かしてほしいものですね。(■つづく)

|

« 畳職人を怒らせたアース製薬・ダニには効かない?ダニアース | トップページ | 元信徒が視るオウム的社会論 第2回 一服で心が変わる!? プロザック »

元信徒が視るオウム的社会論/猪瀬正人」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/389724/6663572

この記事へのトラックバック一覧です: 元信徒が視るオウム的社会論 第1回/エヴァやオウムが流行るワケ:

« 畳職人を怒らせたアース製薬・ダニには効かない?ダニアース | トップページ | 元信徒が視るオウム的社会論 第2回 一服で心が変わる!? プロザック »