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もう一度バブルに踊ろう/第6回 今からでも間に合う!? イヴのホテル!

■月刊「記録」04年8月号掲載記事

              *        *          *

 梅雨が明け、陽射しが肌を焼く。そんな夏への気配を感じたら、そう、クリスマスの予約である。
 うだるような暑さのおかげで、汗をかいたオヤジどころか恋人や猫にも近寄ってほしくないと感じる今日このごろだが、バブル時代の7月といえば恋人と過ごすクリスマスのホテルへの電話が恒例行事だった。予約受付が9月から始まるセンチュリーハイアットや東京ヒルトン、全日空ホテルなどを別にして、夏までに予約をしないと高級シティーホテルでのクリスマスイブは手に入らなかったのである。
 バブル時代を存分に楽しんだという37歳の知人の女性も、「バブルの時、ホテルの予約は夏までなんて言ってた、言ってた」と笑いながら当時を思い返してくれた。
 しかし夏までに動けば、すべてのホテルが予約できたわけでもない。
 91年11月4日『週刊読売』によれば、「当時の若者に一番人気の東京ベイエリア(千葉・浦安)のホテル群」は、「早いところは1月に、遅いところでも6月中には全室予約で一杯になったという。予約開始から1時間半で満室になったところもあるほどだ」と書いてある。
 げにおそるべきはバブル時代!
 最低でも3万5千円ほどする部屋が、半年以上前から埋まっていたことになる。さらに主要ホテルのイブを予約しておき、1万円ほどの手数料を上乗せして宿泊の権利を売り渡していた学生もいたというから驚きだ。
 今考えると、この熱狂がスゴイ!
  「キリスト教徒でもないから12月24日なんざ、ただの年末」なんて「言い訳」は通じない。彼女を保持するためには、シティーホテルぐらい当たり前という雰囲気があったのだ。
 好景気というものは、ここまで人を元気にさせるものだろうろうか? 
  「あの熱気よ、いま何処」ということで、新旧の人気ホテルにイブの予約状況を確かめてみた。 

■前日・当日の予約可能なニューオータニ

 まずは、あまりのドタキャンの多さに腹を立て、90年からクリスマス期間の予約客に、1泊分の前金を徴収して話題となったホテルオークラから。いわずと知れた日本を代表する高級ホテルのオークラなら、少しは予約も入っているかなと期待したのが、「最近は、クリスマスの前日・当日にご予約されるお客様もいらっしゃいます。1ヶ月ぐらい前のご予約ならお部屋を取ることは、まず大丈夫だと思います」とのこと。
 それならと、同じく名門のホテルニューオータニに電話をかけてみると、「クリスマスプランは、だいたい2ヶ月前ぐらいの発表となります。24日が平日の場合は、例年ですと当日や前日でもご予約ができる状況です」との答え。お得なクリスマス専用プランを企画しても、全室埋まるわけではないらしい。
 ならばバブル経済期、不動産などで大金を稼いだ「バブル紳士」に人気のあった赤坂プリンスホテル、通称「赤プリ」はどうだろう。
  「いつごろ予約が埋まってしまうのかは確実なことが言えないのですが、今の時点ではまず空いております」 9月の予約開始日には電話がかかりにくくなるという伝説を持つ西新宿のヒルトン東京も、「最近は事前の予約で部屋が埋まるということがないですね」と寂しげに語る。
 それでも品川プリンスホテルよりは、いくぶんマシかもしれない。
  「ダブルのお部屋は旅行会社に出しておりますので、お日にちが近づきますとお取りできないこともあろうかと思います。なるべく早めに確保という形でご予約をお願いいたします」
 名門・品プリにして、イブの夜が団体客で埋まる可能性があるらしい。
 ちなみに豪華な内装で最近、ジワジワと人気の上がってきている芝公園のセレスティンホテルは、「団体が入ると埋まってしまいます」とハッキリ言われた。イブの夜は、すでに個人の客をあてにする時代でもないということか……。
 今年のイブは金曜日。彼女と宿泊するならまたとない日程だと思うのだが、老舗ホテルの敷居はあまりにも低かった。
 そこで昨年11月、『TOKYO1週間』に掲載された読者男女500人が選んだ「憧れホテル 読者人気BEST5」に電話を。バブル時代の人気ホテルがそっぽを向かれていても、クリスマス前の情報誌で特集されたホテルなら話は違うはず。
 さっそく第1位に輝いたお台場のホテルグランパシフィック メリディアンに電話だ。
「10月ぐらいまでは、(埋まっていないので予約も)ぜんぜん大丈夫です」とのこと。現在人気のホテルさえ、2ヶ月前ぐらいからの予約で十分らしい。
 第2位の東京ドームホテルも、クリスマスプランができあがるのが10月ぐらいらしく、それほど早い予約も必要ないとのこと。
 第3位は先述した品川プリンスホテルで、第4位も先ほど書いた「予約で埋まらない」ヒルトン東京。第5位、汐留にできたばかりのパークホテル東京は、クリスマスプランの発表が夏過ぎてからのため、夏前から予約する必要なし、と。
 それにしてもイブのホテルを巡る状況は一変した。それにともなってホテル側の要求も変わった。バブル期、客の入れ食い状態だったホテル側にとって、心配の種はドタキャンだった。夏に張り切って予約したものの彼女と別れた男たち、あるいはいくつものホテルをとりあえず予約しておいて使わないホテルをドタキャンする人なども多かった。ホテルによっては、一晩で30室もの無断キャンセルが発生したというから深刻だ。
 こうした事態を防ごうと前金制にしたり、直前に確認書を送ったりするホテルが少なくなかったという。ところが今回の電話では、「とりあえず予約だけいかがですか」と、いくつものホテルから予約を勧められた。
 渋谷の駅ビルに入る渋谷エクセルホテル東急にいたっては、「個人様のご予約でしたら、前日・当日のキャンセル以外キャンセル料は発生いたしませんので、ぜひご予約を」と勧誘された。
 イブであっても、ホテルの状況は楽ではないのだ……。

■5つの勝ち組ホテルを支える、その施設

 イカン! バブルの熱気を取り戻すつもりが、すっかり不景気風に当たってしまった。
 さて、それでは満室のホテルは、まったくないのだろうか? いや、それがあったのだ。
 都内・横浜・千葉の人気ホテルに電話かけまくり、「満室」のという単語を耳にしたのは、わずか6回。まず、バブル期を再現したかのような人気を示したのが、ディズニーアンバサダーホテルと東京ディズニーシー・ホテルミラコスタの2店。そう、両方ディズニーリゾート内にあるホテルだ。
 この2つのホテルの予約は、宿泊の6ヶ月前と決められているが、なんと予約開始初日の朝のうちに12月24日の全室が埋まったという。7月21日現在、プレ・イブの23日にアンバサダーホテル5万3100円の部屋なら予約可能とのこと。
 上記2つのホテルとまではいかないものの、人気沸騰が続いているのが東京ベイホテル東急。4万円以上するダブル、5万円以上もするデラックスルームなども含めて満室。
 さらにサンルートプラザ東京とシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは、24日のダブルルームが満室。ツインルームに若干の空きがあるとのこと。
 しかし、よく見れば5つのホテルはすべてが舞浜なのだ。ディズニーランドやディズニーシーでクリスマスを楽しむカップルが、いっせいに予約しているだけ。ホテルが人気というより、クリスマスのディズニーランドが人気なのだ。
 都内および東京近郊のクリスマスホテル商戦は、ディズニーリゾート関連の独り勝ちといえる。業界2位も3位も総崩れ、1位だけが利益を上げ続ける構図は、最近の日本経済そのまま。せっかくはやっているホテルを見つけたのに、暗澹たる思いにとらわれた。
 そして、もう1つ「満室」という言葉を聞いたのが、新宿にあるパーク・ハイアット東京。名監督フランシス・コッポラの娘ソフィア・コッポラが監督した話題作『ロスト・イン・トランスレーション』にも登場する超高級ホテルだ。
  「12月24日のご予約状況ですが今はまだ空いてございますが、昨年は10月と11月に、いったん満室となっておりますので、お早めのご予約をお願いいたします」
 夏に予約がいっぱいになるまではいかないが、10月の段階で満室になるという話は、ディズニーリゾート近辺のホテル以外では聞けなかった代物だ。
 しかし1室5万円以上する高級ホテルが、2~3万円代のホテルより人気が高いのは、「持つ者と持たざる者」の格差が広まった証拠ではあるまいか……。
 あー、思い返してみれば、バブル時代はくだらないバカ騒ぎ連続だったが、今より経済格差は少なかった。好景気に支えられたサラリーマンも、アルバイト探しに困ることのなかった学生も、最高のクリスマスイベントに参加できたのである。
 2001年12月26日号の『SPA!』に掲載されたアンケートによれば、「今年のクリスマスに恋人と一緒に行きたい場所は?」という問いに、20代女性の半分近くが「高級シティーホテル」と答えている。少なくともこのアンケート調査では、「美味しいイタリアン」や「温泉」などを抑えて、20代女性の希望のトップである。しかし、そんな無駄遣いを多くの人がしなくなった。
 では、なぜしなくなったのか、それは次回のクリスマスプレゼント編で解説したい。(■つづく)

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