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首都高速道路500円通行の正義 第9回/フリーウエイ関西の大旗揚げ

■月刊『記録』95年4月号

■崩壊して当たり前だ

 阪神大震災での阪神高速道路の崩壊は、改めて背筋の寒くなる思いがします。もし首都高だったらと瞬間に考えるからです。ゆえに公団からどんなコメントが出てくるかと、息をひそめていますが今だにノーコメント。さすが芸達者な連中も考えあぐねているようですが、ソッと耳をすましているとかすかに聞こえてきます。囁いているようなかすかな呟きが・・・・。
・・・・阪神高速道路は早急に復興させなければなりません。これは私たちが絶対にやらなければならない使命と考えています。昨今、特殊法人の整理統合が話題となっていますが、とんでもない。この地震で、わが阪神高速道路公団の重要性が立証されたのです・・・・。
 な、何だこれはッ!あなた達は、「日本の高速道路の崩壊は絶対にありません。日本の建設技術は世界水準を遥かに超えています」などと大ボラを吹いていたのですよ。「申し訳ありません」の一言もないどころか、恥知らずにも、手前の造った欠陥品が欠陥品と証明されたがゆえに、その修理のために存在価値があるなどという言いぐさは往生際が悪いにも程がある。こういう体質を「水みたいな野郎」という。ケツを拭く紙を流すトイレの水である。
 それにしても多くのマスコミが放映した高速道路崩壊写真は迫力十分でした。巨大な恐竜が永遠の眠りについて横たわっているかのようで、彼が起き上がることは絶対にないと瞬時に誰でも理解できました。絶対に倒れないと信じ、声を大にして叫んでもいました。自国の技術を誇るあまり、海の向こうのロス地震による高速道路崩壊も冷ややかな思いで受け止めていた感がありました。通行料金の高騰も安全神話ゆえに許していました。それがどうです、実にあっけなくもろくも崩壊してしまったのです。
 崩壊写真は私たちの心を正常に戻してくれたともいえます。安全などもってのほか、むしろ倒れるのが当たり前なのだ、と。
 考えてもみて下さい。1本足の橋げたで1000トン以上もある鉄とコンクリートの塊を、重心を取りながら長年支えていたのです。技術もヘッタクレもありません。よくぞ今まで無事でいられたものです。よくぞ今まで頑張ったものです。

■首都に負けない阪神のデタラメ

 首都高と同様に阪神でも、フリーウエイクラブを通してすばらしい仲間たちと多く出会いました。特に山口正善さんという大阪の若者と、彼のドラマは生涯忘れないでしょう。
 1988年4月1日、阪神高速道路が400円から450円に値上げをすると私に情報が入りました。たったの50円かと小さな数字のように思われますが、そうではありません。パーセンテージでは10%以上の大幅値上げなのです。
 当然の如く、山口さんら大阪の若者たちは大いに怒りました。とにかく怒りました。どうしてくれようか、と大いに怒り狂った後、これを形にしなければならない。彼は私に電話しました。
 私はその頃にはなかなかの有名人になっていました。500円通行で週刊ポストには24週間続けて連載されたり、NHK以外のすべてのテレビ局に出演し、初めて本を出版したりもしていたのです。思えば全て100円を払わないことにより発生した出来事で、何と価値ある100円かと不思議に思い、人間社会の思いもよらない仕組みを発見したのです。その仕組みが山口さんと私を強烈に結びつけました。「フリーウエイクラブ関西を作りたい」と。「阪神高速道路が値上げとなりますのや。どうしても納得出来しまへん。ぜひ大阪へ来てわてらと一緒に行動して欲しいんや」。
 生粋の関西人が、もの静かに大阪弁で話す声からヒシヒシとエネルギーが感じられ、初めて声を交わした相手とは思えません。「これは行かなければならない。全力を振り絞って協力しなければ」。

■猛者が4人集まった

 フリーウエイクラブは180人ほどの会員がいますが、全員が500円通行をしているわけではなく、カンパをしたり、仲間を集めたり、署名集めをしたりと、自分達のできる方法で参加すればOKです。当初は約50人が500円通行をやっていたのですが、すさまじい公団の頑強な抵抗で30人ほどに減ってしまいました。しかしうち15人は、絶対にアップ分は支払わないという500円通行の猛者連中です。その猛者連中から3人を厳選して、計4人が各々の仕事の都合に合わせて大阪に向かい、4月1日午前10時に阪神ホテルロビーで合流しすることにしました。その4人とは。
◎和合秀典・・・・ご存じ会長、今日も快調に飛ばします。人呼んでスーパーゴリラ。肩の上に顔が乗っかっているといわれます。
◎西山俊一・・・・出版社の社長さんで、中肉中背年齢不詳。見た目では若いのか年寄りかわかりません。40歳チョイ前くらいかなとも思いますが、55歳くらいにも見えます。お米を顔の大きさまで拡大してから少し上下に伸ばしたような顔の輪郭をしており、その頂点が見事なバーコードとなっています。体制に対しての反骨精神はハンパではなく、何処からそんなエネルギーが出るのだろうと思うばかりです。本稿が彼に見つからないことを祈るばかり。

◎田中健・・・・千葉大学生です。沈着冷静、かつ大胆でどんな時でも慌てません。常にわが道を行き、理論構成には感情論が入りません。事実を整理し、積み重ねる方法で全てを予測していきます。法律やその他、多方面にわたって大変な勉強家です。卒業したら学校の先生になるといっていましたが、昨今では地元の区議会に打って出るといっており、私も出来る時に出来ることは何でもやった方がいいと応援しています。一見、女性と見間違うような風貌で、値上げ反対などと街頭で叫んでいるとビックリする人もいます。ケンさんと呼ばれる将来楽しみな若者です。

◎野上務・・・・新聞記者出身のフリーライター、いわゆる物書きで、当時は全くの無名で苦労していました。彼のリズムカルな文体が好きで、いずれソコソコまではいくだろうと思っています。何しろ努力家で、有料道路の疑問点を書きまくり、今ではすっかりその分野のプロとなってしまいました。
 昨今は多少売れてきたようですが、彼のスタンスは全く変わらりません。正義感が強く、いつもニコニコしていてみんなに好かれます。どんな時でも彼の嫌な顔を見たことがありません。
 やはり反骨精神は旺盛で、政治の話などになると決して後へは引きません。これが同一人物なのかしらと思うほどエネルギッシュで、記者魂を忘れることは永遠にないだろうと思わせます。

 当日、ただ一人の自由人であるケンさんは私の愛車プレーリーに乗って大阪に入り、張本人の私は前夜に大阪へ入って山口さんとその仲間たちと打ち合わせをしました。そしてフリーウエイ関西は旗揚げしたのです。
 阪神高速道路の値上げ日にみんなで旧料金通行をやることをもってフリーウエイクラブ関西の発会とすることとしました。大したことではありませんが、一応先輩の私が手ほどきをするわけです。
 さあ、サイは投げられました。どんな事件が大阪で待っているのやら、もうワクワクしてきます。そして期待通りに大変な事件が勃発することとなります。同じ日本でありながら、大阪は外国だったのです。欠陥道路を平然と造った公団らしい対応が待ち構えていたわけです。(■つづく)

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