« 靖国を歩く/第22回 決定版!お守りガイド(奥津裕美) | トップページ | 靖国を歩く/第24回 靖国「青空骨董市」紀行(奥津裕美) »

靖国を歩く/第23回 遊就館は靖国のテーマパーク(奥津裕美)

■月刊「記録」04年01月号掲載記事

         *        *          *

 日本国内にはたくさんのテーマパークがある。東の横綱・東京ディズニーランド、西の横綱・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。その他にも長崎のハウステンボス、宮崎のシーガイア、福岡のスペースワールド、東京・浅草の花やしきなど挙げたらきりがない。インターネットの検索サイトでテーマパークを調べてみるとその数に感心してしまうほどだ。テーマパーク大好きの私は、USJに行きたいのだが当分無理なので諦めている。
 さて、靖国神社内にもテーマパークがあることをご存じだろうか。その名も「遊就館」。入場料800円の価値を十分に上回る見応えありの施設は文句なしの充実度である。
 現在の遊就館は新しく建てられたもので、初代遊就館は1882年(明治15年)に作られた。それから数回生まれ変わり、2002年7月にリニューアルオープンしている。130年以上の歴史がある。
 遊就館で配っているパンフレットによると、日本で最初の軍事博物館だそうで、改装・増改築を繰り返しながらも、「殉国の英霊を顕彰する」ことと、「近代史の真実を明らかにする」という目的は一貫して貫かれているそうである。
 さらに名前の由来は、中国の儒者・荀況の著書『荀子』勤学編にでている文から「遊」と「就」を選んでつけたそうである。「高潔な人物に就いて交わり学ぶ」という意味である。ここで「近代史(の真実)を学べよ!」という意味が込められているのだ。

■終了時間は驚くほど早い

 遊就館の基本データとして、拝観料大人800円、大学生と高校生は500円である。昨年のクリスマスイブの特集の際もふれたが、やはりこのご時世に800円は高いと感じるが、「テーマパークの入園料」と考えれば格安だ。博物館や美術館もこれくらいはするから、妥当といえば妥当である。テーマパークの料金にデフレの波はやってこないのか。
 冬は午前9時から午後5時までと、終わる時間がテーマパークの常識では考えられないほど早いので行かれるときは注意が必要である。
 靖国へ入ってから白鳩がいる砂利道を右折し数メートル歩くと、白い建物がみえる。それが遊就館である。
 ガラス張りの入口から入り、チケットを買う。さらに左手には、あの省エネ効果を狙っていると思われる、近づくと動き出すエスカレーターがある。ここは2階から見ていくので、エスカレーターに乗るのだ。
 乗りながら「ハイテクな施設だ」と思いをはせるのもいいが、乗る必要があるのかわからないほど短いので考える必要はなかったりもする。
 ところで先ほどから「テーマパーク」として遊就館を紹介しているが、中は博物館に近い。ただそれがすごく豪華な施設として君臨しているのであえて「テーマパーク」と称している。
 1階と2階にわたって展示室が散らばっている。細かく説明していくと、2階は展示室1から10までに特別展示室と映像ホール、1階は展示室11から20までと大展示室、企画展示室がある。
 館内で配っているパンフレットの表記にしたがうと、展示室1、2が「武人のこころと日本の武の歴史」で、3、4が「明治維新、西南戦争」、6から10までが「日清・日露戦争、第一次世界大戦、満州事変・支那事変」、11から15までが「大東亜戦争」、16から18までは「遺書・遺品」が展示してある。ここは、遺族から提供されたと思われる遺影が飾ってある。ざっと見ただけでも100はありそうだったので、もしかしたら親戚がいるかも!と思って探したが、名前を知らないので見つけられなかった。
 なかには私と同じくらいの年齢の方もいて、自分は戦後の今に生まれて、好きな人がどうのとか、好きなことを仕事にしたりと平和をおう歌して生きているが、彼らはそんなことを味あわずに戦場で散っていった。遺書などを見るたびに、これらの戦争の大義や必要性を改めて考えてしまう。
 軍事博物館なので当たり前のことだが、明治時代以降起こった戦争についての展示物ばかりだ。ただその展示数には驚かされる。「どこから集めたんだ」というほど豊富にある。デートは博物館と決めている私にはこの資料の豊富さにはただた感心させられるのみで、「靖国神社の遊就館という軍事博物館」というものを抜きにして、純粋にすごいと思ってしまう。
 しかし、解説に偏りが見られるのは靖国の性質上仕方のないことなので割愛。
 この連載をしていると、毎月靖国に関する資料を読みあさる。『かく戦えり。近代日本』(靖國神社遊就館)には真珠湾攻撃の際に打たれた、「トラ・トラ・トラ」という暗号電報が載っているのだが、遊就館で実際に見たときに「ホンモンだよ!」と思った。
 しかし、この冊子には『「ワレ奇襲成功セリ」と打電した』と説明が書かれているのだが、この電報には「ワレ」という字は一切書かれていない。さらに、暗号は伝えたいことを知られては困るから、別の言葉にしているのに意味を書いてしまったら意味がないだろうと思うのだが。
 これを見たときに、MAXという女性歌手グループの大ヒット曲『トラ.トラ.トラ』という曲を思い出し、この歌はこんな意味が秘められていたのかも・・・・と、一人納得してしまった。

■『おぼっちゃまくん』は置いてない

 忘れてはならないのが、ミュージアムショップだ。博物館や美術館へ行ったら必ず立ち寄るのだが、ここは充実している。そして、ショップ自体がオープンで明るい。併設されているショップはひっそりと佇んでいて、隅に追いやられていて入りにくいのだが、展示室の一つのような感じで見事に溶け込んでいるので入りやすい。
 グッズはもちろん充実している。靖国や神道、戦争に関する書籍が豊富に取りそろえられているのはプラスポイントだ。小林よしのりの『戦争論』が置いてあったのだが、人気を博した彼の漫画『おぼっちゃまくん』は置いていない。
 軍歌のカセットテープとCDも置いてあり、やっぱり軍事博物館だわ、とひそかに感心した。
 外国人観光客がいたのだが、「闘魂」「努力」とかかれた、よく受験生がつけているはちまきに関心を持っている様子だった。
 数多くのグッズが売られているのだが、昨年のイブに行ったときには、靖國神社の名がはいった鉛筆(50円)しか置いていなかったのだが、先日行ったときは新商品として名入りボールペン(75円)が売っていた。
 なにげに商品開発をしているのである。といっても、いたって普通のボールペンに名前が書かれているだけなのだが。
 さらにうろうろしていたら、また新商品を発見してしまった。コインチョコレートである。桜と菊をあしらった模様と、大鳥居からみた靖国の参道の模様がデザインされた金と銀の紙にくるまれたものである。チョコ一つの大きさは直径6センチ。金文字で「靖國神社参拝記念」と書かれた赤いビロードの入れ物に入っている。箱は小豆色と豪華仕様。
 箱を開けたらプーンとチョコの匂いが漂って来たので、裏の表示を見たところ、原材料の中に香料と書かれていた。この匂いのもとは香料だったのか。
 ちなみにこの一箱のお値段1000円。高い。買ったはいいものの、チョコが苦手な私は食べていないので味はわからない。
 クリスマスは間近だが、あっというまにバレンタインデーがやってくる。他の人と差をつけたいと思ったときは、このコインチョコレートをあげるというのもよいのではないでしょうか。印象に残ること間違いなし!
 他にも、靖国ならではのものから、よくある東京ならではのものまで幅広く置いてあるので、エスカレーターに乗ってから、ミュージアムショップを出るまで来館者を飽きさせない。ぜひ、一度行ってみてください。

 遊就館の入口横に零戦の模型が飾ってあるのだが、それを見るたびに「超かっこいい~!」と、子どもが新幹線などを見て「すげぇ」と騒ぎ出すような、子どもじみた思いに駆られる。そして大展示室に飾られている模型を見ると、もう分別ある大人なのだが、暴れ出したくなる。たぶん、過去に一度でもプラモデルにはまった人ならば、私と同じ思いに駆られるに違いない。
 屈託なくそう思えてしまうのは、やはり戦争を知らずに生きてきたからだろうと、心の片隅でそう思ってしまう自分もいた。 (■つづく)

|

« 靖国を歩く/第22回 決定版!お守りガイド(奥津裕美) | トップページ | 靖国を歩く/第24回 靖国「青空骨董市」紀行(奥津裕美) »

靖国を歩く/奥津裕美・『記録』編集部」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/389724/6794811

この記事へのトラックバック一覧です: 靖国を歩く/第23回 遊就館は靖国のテーマパーク(奥津裕美):

« 靖国を歩く/第22回 決定版!お守りガイド(奥津裕美) | トップページ | 靖国を歩く/第24回 靖国「青空骨董市」紀行(奥津裕美) »