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靖国を歩く/第19回 みたままつりと浴衣ギャル(奥津裕美)

■月刊「記録」03年9月号掲載記事

        *           *          *

 夏ですね。もう9月だが、梅雨明けが遅かった今年はまだまだ夏のはず。夏といえばビールと枝豆と花火大会だが、靖国で風物詩といえばみたままつりだろう! 
   7月13日から16日まで行われたみたままつりだが、恥ずかしながら、私はこの祭りを知らなかった。家庭教師をしている友人が、靖国神社への最寄り駅付近に住む生徒の話を伝えてくれたのだ。「みたままつりは、普通の祭りらしいよ。地域密着のね」と。 
   へ? 靖国で祭りがあって、そのうえ地元の盆踊りとかと一緒なの?? こりゃ、確かめなくてはいかん! 
   さっそく靖国神社ホームページをのぞくと、祭りの行事が書いてあった。奉納芸能の一貫として、御輿、相撲大会、マジック、詩吟、バレエ、琉球舞踊、日本舞踊など様々なイベントが行われていた。なかでも目玉は、14日に行われた「つのだ☆ひろの特別公演」だろう。靖国とつのだ☆ひろ、渋いな。当日は、境内でかの名曲『メリージェーン』を歌ったのだろうか。なんかミスマッチだ。 
   みたままつりで何を取材するのか、古参社員に相談したところ、「みたままつりに来ている浴衣ギャルがいい」とあっけなく決まってしまった。「おいおい、個人の趣味にはしるなよ」とも思ったが、祭りの熱気に巻き込まれ取材中にナンパされるかもーと、あらぬ期待をしてしまう、同じムジナの私であった……。 
   さて、みたままつり最終日の16日、いつものジーンズにTシャツという出勤着ではなく、セクシー(余計)なキャミソールなんぞを着込んでみた。一生懸命化粧をし、少しはましな顔に整え、気合いを入れ出発。 
   それにしても暑かった。 
   しかし靖国神社に近づくにつれ、心が冷え冷え。クリスマスイブの取材よりも寒くないし楽でしょ、と思うかもしれないが違う。なんでって、イブでは少なかったカップルが、数えるのがバカバカしくなるほどいるのだ。楽しそうに靖国に向かって歩いていく。 
   なんで楽しい夏祭りを1人で過ごさなければならないんだ! 因果な商売である。そんなことを考えても仕事は終わらんので、気分を入れ替え大鳥居をくぐった。

■ 天国にトンボをアピールしたら 

   午後5時、まだ明るい参道は、それほど混雑しているわけではない。 
   これはちょうどよいと思い、参道を歩く。露店は軽く30軒はあっただろうか。顔ぶれは正月のときとはあまり変わらなかったが、ラムネやかき氷などの夏限定の露店も軒を連ねていた。 
   参道の入口から出口まで一通り歩き、早速取材を開始。ところが、まったく取材できない。じつは私、人見知りが激しく人に声を掛ける事ができない「Too SHY 女(すごく恥ずかしがりや)」なのである。靖国に着いて30分。何とか勇気を出し、女の子2人組に声を掛けることに成功。 
   うちわとトンボ柄が描かれたピンクの浴衣の女の子と、白と黒のストライプ生地にトンボ柄の浴衣を着た女の子だった。ピンクの女の子は高校生。フリーターをしている白黒の女の子に誘われて来たとのこと。この白黒の女の子は毎年来ており、「祭りでは友達にも会えるの」と笑顔を弾ませる。 
   そのうえ戦没者が祭られている神社でもあることも知っていた! 「わかんなーい」なんて答えを期待していたのだが、意外である。耳は直径5ミリの穴ほどが耳を貫通。通称「ドカン」のピアスをしているのに。いやいや、見かけで判断していてはいけません。  
   せっかく靖国の浴衣である。おそらくは頭上で駆けめぐっているであろう何百万柱という英霊へのアピールポイントをたずねてみた。「やっぱトンボしかないよねー」と黒白の子。「うちわトンボかなー(笑)」とピンクの子が答えてくれた。 
   う~ん、天国にトンボをアピールしたら、「極楽とんぼ」になってしまう。怒らないか英霊? あっ、「極楽」は仏教だから関係ないですね。 
   続けざまに小学生3人組に声をかけてみたところ、みたままつりの情報は友達から入手したと答えてくれた。しかし、急いでいたらしくそそくさと立ち去られてしまった。一体なにに急いでるんですか? 夏祭りでしょ、小学生でしょ。社会人の私より忙しいなんて……。 
   ところが、それから浴衣ギャル達がとぎれてしまったのである。仕方ないので、大村益次郎像のふもとに腰掛け、待つこと30分。意気消沈した私の腰は、さらに重くなる。ところが隣に座ったサラリーマン(20代)がチラチラこちらを見てきているではないか。もしかして声かけてくるとかなどと期待したが、やはり仕事の最中なのが頭に引っかかり、誘い水をかけることなくそそくさと立ち去った。この手の話は、「徹底解説! 靖国ナンパのデートコース」という企画を社内で通してからのることにする。

■ おしゃれなローティーンも祭りに 

   さて、午後6時をすぎると人が増えてきた。そして、いきなり太鼓の音が! 盆踊りでも始まるのかと思いきや、太鼓ソロだった。太鼓の音を背にして、神社内へと歩いていく。 
   神門をくぐると、絵や文字の描かれた和紙が裏から白色灯で照らされている。みたまつり名物の「懸けぼんぼり」である。近づいて見てみると、私でも知っている各界の著名人の名前が。平成の名横綱貴乃花、一人で土俵を守り続けた武蔵丸、お騒がせ朝青龍、他にも奉納相撲に出場したであろう力士達のぼんぼりがズラリ。芸能・文化人では、小林よしのり氏、窪塚洋介氏、つのだ☆ひろ氏、藤岡弘氏などなどが目に留まった。 
   参拝も終え、また参道を歩く。一角に札屋の露店が出ていたので、そこで豆札ストラップ(1000円~)を作ってもらうことにした。木の板かプラスチックの板に文字を焼き入れるものだ。人気があるのか、客が並んでいた。店自体は浅草にあるとのこと。店長と思われる人物は下町の匂い漂うみこしの似合いそうな人だ。 
   みやげも買ったことだし、取材を再開しようかと思ったら、人が増えすぎて話が聞けない状態に! 浴衣ギャルも増えてきたのに、靖国ライター絶体絶命のピンチである。古参社員に電話してアドバイスを求めると、「適当に話しながら、参道の脇に連れて行けー」と絶叫している。浴衣と聞いて興奮したらしい。「いや、自分のペースで歩けないほど混んでいて、立ち止まって話なんかできない」との説明が終わる前に電話は切れた……。いつもながらアバウトなアドバイスである。 
   人混みが少なくなったところを狙い、小学生の女の子6人グループに声をかける。浴衣も数がそろうといいもんですね。全体的にピンクの浴衣が多かったのは、今年の流行なのだろうか。着こなし方も、個性が出ている。帯を少し折って裏地を見せたり、かんざしをつけたり。最近のローティーンはおしゃれなのだ。 
  「贅沢は敵だ」というスローガンが当たり前だった時代の英霊は、どう感じているのか知りたかったが、本日は霊媒師を連れてない。 
   さて、もちろん靖国神社の成り立ちについても質問してみたが、みな首をひねるばかり。小学生ならそうだろう。簡単に由来を説明し、「浴衣ギャルとして、頭上に飛んでいる英霊に送る言葉はない?」と質問すると、リーダー格と思われるショートカットの女の子が「世の中幸せになってます」と、真面目かつ少し笑いながら答えてくれた。1人寂しい夏祭り取材だが、戦争中よりは幸せなのは間違いない。改めて平和について思いを巡らした。 
   7時近くになってきたのであと一組くらい取材しようと思い、女子高生4人組に声をかけた。ここでもピンクの浴衣が多い。その中の1人は「浴衣手作りなんです」と話してくれた。ピアスと浴衣の色を合わせている子などもいて、女性の私からみてもカワイイ! さっそく靖国神社の由来について質問しようとしたら、皆の口には、ふかしジャガイモが! 食べるのに忙しく、取材断念とあいなった。 
   取材の最中、益次郎像をかこんで盆踊りが始まった。ところが盆踊りの輪と露店との差がほんの数メートルしかなく、人が増えると踊りの輪がとまってしまう。踊るのも大変そうだ。輪の中には飛び入り参加と思われる人がちらほらいた。 
   全く関係ないが、「なんでだろ~」というギャグで知られている、テツandトモというお笑い芸人が『なんでだろう音頭』を出したと宣伝していたので、靖国ではかかるのだろうかと少し期待してしまった。当たり前だが流れなかった。靖国のカラーには合わないのだろうか。私としては、靖国とお笑いの新たな融合(ミスマッチ?)を楽しみたかったのだが。来年に期待しよう。 
   何も食べずに2時間ウロウロしていたらおなかがすいてしまったので、行列をなしていた揚げ餅の屋台で揚げ餅を買う。屋台の中に、『靖国名物』と書かれた短冊が何枚も貼ってある。いつから揚げ餅が靖国名物になったのだろうか。私の愛読書『ようこそ靖國神社へ』(近代出版社)には載っていなかったので、もしかしたら知る人ぞ知る裏メニューなのかもしれない。 
   できたては、膨らんでいておいしそうだったのに、会社に帰ってふたを開けるとしぼんでただの餅に。はかない揚げ餅。まるで今回の企画のよう……。 
   浴衣ギャルにとっては、みたままつりも普通の夏祭りなのだ。事前情報通りであった。だからどうしたと言われると困る。「懸けぼんぼり」以外は同じ。浴衣ギャルはかわいい。以上である! (■つづく)

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