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靖国を歩く/第16回 ゴールデンウィークの靖国は人気があるのか(奥津裕美)

■月刊「記録」03年6月号掲載記事

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 今年のゴールデンウィークは最大10日間。10日あれば、海外でリフレッシュ! 思いっきり羽をのばすことができる。しかし、新型肺炎(SARS)の影響で海外旅行者が約14万人と激減。SARSが猛威をふるっている中国は米国同時多発テロ後も観光は好調だったが、今では海外安全ホームページで「渡航の是非を検討してください」と呼びかけられている。それでも行きたいのが人の心だが、「自分だけは大丈夫」ということは決してないので、不要不急以外で行かれる方は十分に気を付けてください。 
   反対に、国内行楽地の人出は警察庁の調べによると約6600万人と、前年度より429万人増えている。特に人出が多かった行楽地は、長野県の善光寺で、7年に一度のご開帳の真っ最中で211万人と堂々のトップワン。すごく混んでいたんだろうな。で、同じ宗教施設の靖国も盛り上がるのではないかとと考えたわけだ。 
   ゴールデンウィーク最終日の5月5日のこどもの日に靖国神社へ行ってきた。こいのぼりはそよそよ泳いでなかったが、その雄姿がさらに際だちそうな晴天で、SARSはともかく紫外線が肌に大敵だ。Tシャツを着込み、帽子をかぶり、さらにUVケアもして九段下へと向かった。暑さが和らぐ午後2時に靖国に着く。ふだんの取材は平日が多く、午後2時を過ぎると参拝者はまばらで、帰宅途中の学生やサラリーマン、OLの人とすれ違うことが多いのだが、いつものように九段坂をあがり、大鳥居をくぐるといつもより人が多い。 
   休日の正月ほどではないが、クリスマスイブよりははるかに多い。昨年のイブの取材は平日で寒く、しかも曇りだった。それに比べ、こどもの日は休日に加え、天気にも恵まれていた。 
   いつものようにアホみたいな顔をしながら大村益次郎像を見上げつつ、直進せずに左へ曲がり、駐車場から拝殿へ向かうことにした。当たり前のことだが、駐車場には車が多数あった。像に近い入り口から入っていくと、乗用車が並んでいる。それから奥へ進んでいくと観光バスが4台。群馬バス、新潟国土観光バス、日東交通が並んでいる。どのようなツアーなのかを見てみると、新潟国土観光バスには「白根市柔道連盟」の貼り紙、群馬バスには、「東京ドームツアー」の貼り紙があるではないか。 
   東京ドームツアーと靖国?確かにその日はプロ野球巨人対広島戦がドームで行われていたが、試合開始前に英霊に祈りを捧げるためだろうか。「10対2で巨人が勝ちますように」や、「今年は虎が優勝だ」などと願いを込めるためなのだろうか。もっとも靖国はスポーツとの縁も深く、プロスポーツ選手の英霊も祀られているそうなので妥当ではある。 
   気になった私はさっそく群馬バスに話を聞く事にした。電話に出た男性はさわやかな声で、「連休中の東京ドームツアーは昨年よりも20~30%増えましたね。このツアーに限らず、連休中は増えますね」と教えてくれた。東京ドームツアーで靖国神社を参拝するのはまれにあるそうだが、ツアーではなく一般の団体客の参拝のほうが多いらしい。遊就館を知らない方も多いそうで、遊就館見物は目玉だそうだ。しかし、ちょっと高いですよね(入場料800円)…と漏らしていた。 
   そして「たまにですが、靖国神社さんの駐車場をお借りすることもあります」とも教えてくれた。東京ドームの駐車場は、東京ドームホテルができてから駐車場が減ってしまい、予約制ではなく早い者勝ちなのだそうだ。群馬バスでは、2時から3時までに東京ドームへ向かうそうだが、なかには、「12時頃に、駐車場に入っているところもありますよ」という。東京ドームの駐車場をめぐる争いはし烈である。 
   そんな群馬バスを横目に駐車場奥にある売店へ入る。入り口の右手には春季限定のお菓子が並ぶ。まんじゅうやゴーフレット(洋菓子の一種)など、靖国の桜にちなんだお菓子である。それから中へ入っていくと、店内はいたって普通の土産屋だ。しかし、浅草や京都などとは違いゴチャゴチャと物であふれかえっておらず、非常にすっきりとしている。 
   何も買わずに店を出るのも何なので、観光者気分を味わうためにも何か買おう!と決意した私は、店内を物色することにした。パーキングエリアなどで見かけるクッキーやまんじゅうなどを見ては、「これはさすがになぁ……」などとつぶやき、漬け物を見ては、「これはいい! でもスーパーで買えるし…」とつぶやく。修学旅行生のように店内を物色すること約2周。このままだと日が暮れて店じまいしてしまうので「これだーっ!」と購入するものを決める。「桜うらら 銘菓――花ゴーフレット(春季限定)10枚入り」と「靖國銘茶 静岡産やぶきた品種200グラム入り」を購入。計1430円。なかなかのお値段である。 
   会計のついでに店のオジサンに、ゴールデンウィーク中の靖国の状況を聞く。
  「今日はもう参拝者はまばらだけど、1日、2日から増えてきて、昨日ぐらいが一番多かったよ」 
   昨年より多いかの問いには、「そうですね。今年は、外国へ行く人が少なかったからね」と答えてくれた。 
   後日お菓子を食べた。よく口にするゴーフレットというと、もっと表面がざらついているが、靖国のものは表面がつるつるで、しかも桜の絵や「さいた さいた さくらが さいた」とい字が印刷されていて粋である。味の方はというと、においも味も普通だった。軽い触感で、パリッとしていて甘さも控えめなので贈答用にピッタリだ! パッケージの裏を見ると、遺伝子組み換えではないコーンスターチが使われていることがわかった。一部、原材料に大豆が使われているそうだが、これは遺伝子組み換えの大豆ではないのかな……。その他に、なんと桜の葉の粉末まで入っているではないか! これはすごい! 
   参拝前に土産を買ってしまうのは英霊に対して失礼だが、買ってしまったので仕方ない。許してください。いつものように賽銭を投げ参拝をする。その後、休憩所へ行ったら、外にあるベンチにはたくさんの人が座っていた。それにしても暑い。靖国の参道はコンクリートで、さらに白いので照り返しがすごい。いつも思うのだが、靖国神社の参道は白い。神社というと、鎮守の杜があるところが多く、独特な空気が漂うイメージが強いが、靖国はそのようなイメージがわかない。初めて訪れたときも、桜を見に行ったときも私の中でのイメージが崩れることはなかった。鎮守の杜にある独特な雰囲気とはまた違う雰囲気が私の体を包むのだ。 
   靖国を出て会社に戻ろうかと思ったが、今日は休みだし、せっかく来たので武道館の方へ足をのばしてみようと思い向かうことにした。北の丸公園へ向かう坂道を上ると立派な門が見えた。その門にたどり着くまで何組のカップルとすれ違っただろうか。なぜ私は一人で散策しているのだ。それも、片手に土産の入った袋を持って。たまにカップルの女性が一人なの?とでも言いたそうな目で私のことを見るのですが、寂しくなんかありませんよーだ。 
   京都の二条城のような入り口を入り、歩いていくと憧れの武道館が現れた。その日は空手選手権が行われていたらしく、制服を着た学生が入り口から出てきていた。周辺では、ジャージや空手着を着た選手がランニングやストレッチをしていて、陸上競技の大会で訪れた三ツ沢グラウンドを思い出してしまった。 
   とにかく暑くてバテてしまいそうだったので売店に入る。ソフトクリームの貼り紙に惹かれて、早速バニラと抹茶のミックスソフトクリーム(200円)を購入。さすがに、一人で食べるのは恥ずかしい…なーんてことは言ってられないので食べました。おいしかったです。やはりソフトクリーム購買率が高く、食べている人が多かった。暑い日はソフトクリームに限る。 
   食べ終わり少し休憩をして売店を出る。そしてさらに奥へ進むと、子供と遊んでいる父親の姿や談笑するカップルの姿がたくさんあった。平和だな。 
   九段坂を下り、いつも気になっていた昭和館に行ってみる。ひときわ異彩を放つこのビルには窓が見あたらない。このビルは昭和館のマークにもなっている、ひし形というか、アニメ『アンパンマン』に出てくるカレーパンマンのような形をしているのである。意を決して中へはいると、一階の受付横にチケット販売機がある。値段は大人300円。遊就館より500円安い。チケットを買い、どこが展示室の入り口なのかと探していると、受付のお姉さんがやってきて、「展示室の受付は7階ですので、そちらにあるエレベーターで7階まで上がってください」と教えてくれた。7階?遠い…。と思いつつエレベーターで7階へ行くと受付があった。チケットを握りしめ入り口へ向かうと、なんと受付のお姉さんが立っている横にチケット販売機があるではないか!なんてこった。それなら、『チケット売り場は7階です』というようにしてほしい。 
   気を取り直して展示室へ入っていく。思ったよりこざっぱりとしていて博物館にしては寂しい感じがした。遊就館を見てしまっているだけに、展示数が少ないように思えた。展示室は7階、6階になっており、7階は戦中、6階は戦後の暮らしを数々の実物資料で伝えている。見物者が少なかったので、ゆっくりじっくり見ることができてよかったといえばよかったが、実物資料を募集している背景もあり物足りなさは否めなかった。これから実物資料が充実していく事を期待しよう。 
   昭和館のパンフレットによると、映像資料は、静止画約17,000枚、動画約2,000タイトル、音響資料が約35,000枚収蔵されているそうだ。そのような資料が充実しているので、遊就館で幕末から太平洋戦争までの歴史を学び、昭和館で戦中・戦後の庶民の暮らしを学べば、これであなたも近現代日本の歴史マスターに!…オイオイ、なれるのか? 
   海外旅行へ行かなかったというより、そもそも行く予定はなかった私の今年のゴールデンウィークの思い出は、靖国のほかにはリニューアルした東京競馬場で春の天皇賞を見たことか。しかし、天皇賞は京都競馬場の第9レースだったことを忘れて、東京の第9レースを買ってしまいトホホ…な一日を送ったのだった。  (■つづく)

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