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靖国を歩く/第13回 一年に一回、本当の運だめし-福引き in 靖国(奥津裕美)

■月刊『記録』03年3月号掲載記事

    *        *        *

 神社での運だめしというとおみくじだけだと思っていたが、実は違ったみたいだ。さらにスッゴイものがあったのだ。 
   12月某日、企画を考えながら靖国神社のホームページを見ていたら、なんと! 福引きをやると書いてあるではないか。しかも福引き券のページをプリントアウトすれば一回引けるという。なんだこりゃー。これは早速、行かなければ。 
   1月3日。雪の降るものすごく寒い日にもかかわらず、やって来ました靖国神社。やはり「初詣は靖国へ」と、テレビCMを流していただけはあった。第一鳥居を入り坂をあがった途端、目の前には出店・出店・出店。まさに出店ランドなのだ。クリスマスの頃とは大違い!
   先月号を読んだ方ならおわかりかと思うが、イブはBSE(狂牛病)騒動の頃の焼き肉店のような寂しさだったのに、一週間後には、リニューアルオープン時の丸ビルのような盛況さになっていた。 
   初詣には毎年行っているが、祭りのような盛り上がりをみせる神社には行ったことがなかったので、正直おどろいた。私のこれまでの経験では、あるといったら甘酒を配っているテントぐらい。ところが靖国神社は、軽く20~30は店を出している。 
   焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、綿菓子、くじ引きなどオーソドックスな出店はもちろんのこと、最近は串に刺した肉やクレープなどが参入。それどころか松阪牛まである。原価はいくらなのかわからないが、フランクフルトよりはお得感がありそうだ。テキ屋もなかなかのものである。食べ物屋の中には、奥に食べるスペースがあるところもあった。なんて親切な。 
   そんななかでも、ひときわ目を引く出店があった。コンピュータを使った占いだ。参道で占い。「占い」なのに「売らない」。この取り合わせが意外とおかしい。現代の技術を駆使した占いか! それとも本殿まで行っておみくじか! どちらが当たるのか……新年占い対決の結末はいかに! などと考えながら通り過ぎたが、寒さのためか、それともおみくじで満足している人が多いためか、お客さんはいなかった。大雪が降る中の営業はさぞかし大変だろうなとか思いつつ、先へ進んでいった。 
   まだ数分しか外を歩いていない私でさえ寒い。ブーツの中の足が冷え切って感覚が失われてきている。早く福引きを引かないと。 
   凍りそうだったので手水は割愛。手水舎で清める以外にも、葉で雪をこするというやり方もあるのだが、あいにく雪が積もっていなかったのでそれも割愛。まず、賽銭箱にお賽銭を投げる。「今年こそミリオンセラーがでますように」と、まだ本すら書いてなのにお願いし、二礼二拍手一礼で参る。チラッと横を見ると、その方法で参ってる方がいるではありませんか。ただ手を合わせている人が多いなか、公式の参拝方式は目立っていた。年に一回は正式な方法で参るのもよいのではないでしょうか。

■よりどりみどりの豪華賞品

   案内図をみて、福引き会場へと足を運ぶ。力の入った会場設営なのかと思っていたら、普通のテントでハッピを着た若者がやっていた。福引きというと、ガラガラと回すものを思い浮かべる方も多いかと思うが、靖国の福引きは三角くじだった。くじ引きじゃん! と思わず突っ込みをいれてしまいそうになったが、商品がもらえるおみくじだと思う事にした。盛況かと思いきや、昇殿参拝をしないと福引き券をもらえないシステムだったので、ホームページを見たであろう人など見あたらない境内では、福引きを引いている人はそれほど多くはない。 
   しかし驚くなかれ、商品はものすごく豪華なのである! 
   1等・14型カラーテレビ、おとそセット、FMVノート型パソコン。2等・DVDプレイヤー、デジタルカメラ、ハローキティぬいぐるみ(大)、にゃんまげぬいぐるみ(大)、焼き肉プレート、ハウスクリーニングサービス券、食事券、図書券。3等・鉢植え。4等・靴下。5等・カード入れ、チャルメラ、メモ帳、ボールペン、マスク。6等・消しゴム。 
   私は、5等のメモ帳をもらったが、ピンクのグラデーションが可愛い・ もったいないので、約2ヶ月たった今でも未開封で保存している。一緒に行った友人は、消しゴムをもらっていた。見てみると、野菜の形をしていて、パッケージには、『帰ってきたウルトラ米ャンペーン』と書かれており、裏側には、「食べ物ではありません。『消しゴム』です。小さなお子様にご注意ください」と書かれている。とはいえ、キャベツの消しゴムなどは、どう見ても緑の塊にしか見えないのだが……。 
   一般的に福引きといえば、スーパーやデパート、駅ビルなどでやっている。賞品は、特賞が海外旅行、一等は商品券か温泉旅行、5等はお菓子、ハズレがティッシュ。そんなところだろう。 
   それに比べてさすがは靖国。1~6等まで気を緩めていない。靖国神社でパソコンやテレビがもらえるなんて想像したことがあるだろうか。福引きの企画を立てたとき、古参編集部員と共に「真珠湾攻撃の跡地を巡るハワイツアーだったらどうする?」「遊就館入場無料券とかだったら」など色々な想像を膨らませていた。安直というか、ふざけているというか、考えが幼稚すぎて靖国に申し訳なかった。怒らないでね・ 
   豪華な賞品の中にも、かなり渋い商品が含まれているのが面白い。 
   まずは、なんといってもチャルメラ。協賛企業に日清が入っていたので納得だが。看板商品カップヌードルではなく、チャルメラというところがよい。これが、チャルメラではなく、チキンラーメンが賞品だったら、メモ帳では迷わずそっちを選んでいた(ただ、好きなだけなんですけどね)。 
   さらに渋いのが、マスク。通常の福引きでは、なかなかお目にかかれない賞品だが、今年は例年以上にインフルエンザが大流行し、死者も多数でた。もしかしたら英霊がそれを前もって予測していた!?、というのは考えすぎか。 
   4等にあえて、靴下を持ってきているのはなかなか真似できないセンスである。これも協賛企業が多彩だったからだろう。企業からも人気の神社ということか?

■1等でも名前は張り出しなし

   買い物で貰った補助券10枚ほど、あるいは3000円で1回なんていう商店街の福引きよりも、靖国で福引きを引いた方がいいのではないか。外れに近い5、6等でも、実用的な商品の並ぶ靖国の方が、お得感が大きい。 
   私たちが、メモ帳、消しゴムをもらっている横で、チリンチリンと、大当たりのベルが鳴らされた。どうやら当たったらしい。 
   スーパーなどでは、特賞に当たった人の名前が書かれているボードなどがあるが、靖国にはないようだ。 
   そうしたボードは、あと何本特賞が残っているかがわかるので便利だが、自分が運良く当たってしまった場合はイマイチである。それも鈴木、山田、渡辺などありきたりな名字ではなく、堂珍とか御法川とか御手洗などといった珍しい名字だった場合は、当たったことが近所の人にバレしまう。奥津だって、ちょっと危険だ。「そういえば、特賞当たったらしいわね。いつハワイに行くの?」なんて聞かれた日には、近所中にお土産を買って帰るハメに……。 
   その点、靖国神社は良心的というものだ。 
   いろいろな所から参拝者が来るから書かれてもわからないなんていうのは甘い。世間はとても狭いのだから。もしかしたらクラスメイトや同僚、ご近所さんが初詣に来ているかもしれない。ボードを見た時点では気付かないかもしれないが、「初詣で靖国に行って、福引き引いたよ~」と言った時にバレてしまう可能性も十分あり得る(だからなんだ?)。

■「気持ちをお返しする」福引き!?

   どうして靖国神社で福引きをやっているのか。そんな根本的な疑問を抱いて、靖国神社の広報に電話してみた。 
   すると、「協賛企業から頂いた物や気持ちを、(靖国神社がかわって)一般の多くの人に気持ちをお返しする」のだという。 
   ナイスな心意気だ。神社としてとてもよい事をしているのではないか。もらった物を独り占めにするのではなく、みんなにわける。それならそれでHPをもっとわかりやすくし、昇殿参拝しない人にもやらせてあげたい。福引きなんて他の神社ではやっていないのだから、もっとアピールしてもよい。ただ、あれだけ参拝者の集まる神社で、福引きの宣伝をしたら、いくつ協賛企業があっても足りないかもしれないけれど。 
   これまでの福引き人生を思い返してみると、私はくじ運がないのかティッシュばかりもらっていた気がする。花粉症と鼻炎持ちなのでティッシュはとても重宝するけれど、なんか寂しい。小学生の頃、ポットが当たったが、結局使わないまま実家を出てしまった。その前には、後頭部に護送車が当たって「大当たり」ということがあったぐらいか。私には男運があっても、くじ運はないらしい。来年こそは、ノートパソコンを当ててやるぞー! と思いながら帰っていったのでした。  (■つづく)

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